ビジネス

2018.01.16 12:00

何をしでかすかわからない会社にこそ、投資したくなりませんか?|糸井重里

糸井重里|ほぼ日代表取締役社長。



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岩佐
:これからも、ほぼ日は何をするかわからない会社なんですか。

糸井:ただ目の前に可能性がたくさんあるのに、いまはリソースが少なくて悩んでいます。それに、僕には欲がないからあたふたしています。そこはいま自分を変えなきゃいけない部分ですね。「スケール」とか平気で言えるようにならないと、手伝ってくれる人に迷惑がかかるのです。まだまだできることはたくさんあります。他社とのコラボもあれば、タダ働きもあるでしょう。

岩佐:タダ働きも事業も、どちらも糸井さんの中では一緒なんですね。
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糸井:そうです。だってそれが仕事を作っているわけですから。利益が出る仕事もあればタダ働きでトントンという仕事もあります。みんなにノウハウが乗っかる仕事をすれば、事業につながっていくんじゃないですか。ひとつひとつの仕事を損得の軸で考え過ぎちゃうと、「頭いいね」というだけになってしまいますから。

孫泰蔵さんがMistletoeでやっているインキュベーション事業も面白いですよね。すぐに結果を出せと言われたら、あんなこと絶対できないですよ。

篠田:Mistletoeは、新しいことをやってみようという人たちの梁山泊になっていますね。

岩佐: 3年後あたりに、いまされていることが証明されたらいいですよね。

糸井:でも、証明されなくてもすごいと思います。僕は、田んぼを耕すことをみんなが評価しなさすぎると思っています。すでに人の手が入った田んぼは、何を植えても稲が育つんです。

僕がやってきたのは、田んぼを耕すことばっかりです。今の説明は生まれて初めてしましたが、失敗してもそれは失敗じゃないんだ、という言い方を僕はよくします。失敗したことで、その理由が何なのかわかれば、ノウハウがたまり、後からいろんなことができるようになるんです。

岩佐:土地を豊かにするという意味では、失敗も成功も同じだと?

糸井:なにより人間が育ちますから。

次回は株主総会の中でも特に異彩を放った岩井克人東京大学名誉教授の講演会について。グーグルとほぼ日の共通点からは、これから求められる企業像が浮かび上がってくる。(続く)

【1月23日配信】第二回はこちらから>>


糸井重里◎株式会社ほぼ日代表取締役社長。コピーライター、エッセイスト、作詞家として幅広く活躍する。1998年に開設したほぼ日刊イトイ新聞は、1日140万PVのアクセスを集める。

篠田真貴子◎株式会社ほぼ日最高財務責任者CFO。日本長期信用銀行(現・新生銀行)、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2008年より現職(当時社名・東京糸井重里事務所)。

編集=フォーブス ジャパン編集部 写真=松本昇大

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