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金融市場に関する記事を中心に執筆

(Photo by Chesnot/Getty Images)

米国では株式市場に強気の見通しが広がるなか、2018年にはスポティファイやドロップボックス等の有名企業のIPOが予定されている。

昨年は食材宅配サービスのブルーエプロンやスナップの上場が、期待を下回る結果に終わったものの、2017年全体を通して見ると、低調だった2016年からは回復傾向が見られた。

ルネッサンスキャピタルの報告によると、米国でのIPO件数は昨年、前年比50%増の160件に達した。累計の資金調達額は350億ドルに達し、これは2016年のほぼ倍の額だった。「IPO市場は活況を呈している」とPwCのIPOサービス主任のDavid Ethridgeは述べた。

IPOを行う企業はバイオテックやテクノロジーを筆頭に、あらゆるセクターに及んでおり、米国で上場する中国企業も増えている。上場企業のリターンは平均で26%に達しており、「Roku」や「AnaptysBio」「Stitch Fix」「カナダグース」といった企業の株価はいずれも二桁台の上昇となった。

ただし、もっと輝かしい成果を収められた可能性もあった。「巨大なユニコーン企業の存在や、ナスダック市場が30%の上昇だったことを考えると、2017年はもっと多くのIPOも期待された。しかし、ユニコーンの多くは非上場にとどまることを選択した」とルネッサンスキャピタルのMatt Kennedyは述べた。

企業らがIPOを選ばない背景には、上場せずとも豊富な資金を調達できていることがあげられる。WeWorkは44億ドルという莫大な金額をソフトバンクから調達した。エアビーアンドビーもさらに10億ドルを調達。ピンタレストも1億5000万ドルを調達した。煩わしい手間をかけてIPOを行わずとも、十分な資金を得られている。

また、スナップはアリババ以来の大型IPOとして注目されたものの、その後、収益化に対する疑念が高まるなかで株価は冴えない動きとなっている。さらに、ブルーエプロンも競合との競争激化が伝えられるなかで、株価はIPO当初から65%下落し、6%の人員削減を行った。その後、同社の共同創業者のマット・サルズバーグは、社長兼CEOの座を退いた。

新SEC委員長は「IPO促進」のスタンス

しかし、その一方で株式市場では活況が続いており、今年は多くのユニコーンにIPOの期待が高まっている。2017年にS&P 500は19%の上昇で、ナスダックは28%の上昇だった。この2つの指標は2013年以来の好調な数字となっている。

2018年はスポティファイとドロップボックスを筆頭に、配車アプリの「リフト」や決済企業の「Adyen」、電子署名テクノロジーの「ドキュサイン(Docusign)」らに対してもIPOの期待が高まっている。

一方で今年のIPOが期待されない企業がウーバーだ。同社CEOのダラ・コスロシャヒは「2019年にIPOを検討している」と発言した。ただし、コスロシャヒの発言は、前CEOのトラビス・カラニックが「IPOは可能な限り、先送りしたい」と述べていたのとは全く対照的なスタンスといえる。

トランプ大統領が今年に入り、米証券取引委員会(SEC)の委員長に起用したジェイ・クレイトンは、オバマ政権下で成立した「金融規制強化法」の緩和策を打ち出しており、企業のIPOを促進しようとしている。

編集=上田裕資

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