第一生命保険は毎年、全国の子どもたちを対象に「大人になったらなりたいもの」についての調査を実施している。今月公表された2017年版は、全国の未就学児から小学6年生までの子ども1100人を対象に行われた。
今年の結果からは、日本人の多くが知識や学びに対して尊敬心を抱いている一方で、女の子たちはいまだに「女性らしい」役割を担う補佐的な仕事に就くよう育てられている現状が浮かび上がる。男女間の回答に共通点がないことからも、日本の性格差が幼少期から始まることが分かる。
男の子の回答で最も多かったのは「学者・博士」で8.8%。続いて、「野球選手」、「サッカー選手」、「お医者さん、警察官・刑事」、「大工さん」、「消防士・救急隊」、「食べ物屋さん」、「建築家、水泳選手、電車・バス・車の運転士、料理人」という結果となった。
日本では昔から学問の世界に敬意が払われてきた。教師や学校幹部は今でも尊敬の対象であり、男の子が将来なりたい職業のランキングでは「学者・博士」が1989年以降ほぼ毎年トップ10に入っている。
また第一生命保険は、日本人科学者が2014年から3年連続でノーベル賞を受賞したことも、子どもたちの研究者へのあこがれを再び高めたのではないかと分析している。
学者・博士になりたい理由として、ある6年生の児童は「科学者になってがんを完璧に治す方法を見つけてノーベル賞をとりたい」と回答。また、「科学者になって、子どもと一緒に遊んでくれるロボットを作りたい」と、大きな野心を示すとともに、AIとロボット工学の融合の難しさを認識しているかのような回答を書いた子もいた。
なお、男性向け子育て情報サイト「ファーザーリー・ドット・コム(Fatherly.com)」が2015年に米国で行なった同様の調査では、男の子が最もなりたい職業は「スポーツ選手」、続いて「消防士」、「エンジニア」、「宇宙飛行士」だった。