しかし、実際には米国では、この素晴らしいスポーツの人気は上昇している。サッカーファンたちはようやく、それを数字によって証明することができるようになった。
米調査会社ギャラップが昨年12月に実施、年明けに発表した調査結果によると、「最も観戦したいスポーツ」としてサッカーを挙げた人は、調査対象者の7%だった。それほど高い割合とは思えないかもしれない。だが、わずか4年前の調査結果から3ポイント上昇している。これほど人気が高まったスポーツは、サッカーだけだ。「アイスホッケー」と答えた人は増えたが、割合は3%から4%となったにすぎない。
最も観戦したいのは「アメリカンフットボール」と答えた人の割合は、今回の調査では37%(前回は39%)だった。「バスケットボール」は11%(同12%)、「野球」は9%(同13%)で、いずれも減少した。次回の調査で、サッカーが野球の人気を上回る可能性は非常に高い。
この予想にさらに説得力を与えるのが、それぞれのスポーツを支持する人たちの年齢の違いだ。最も観戦したいのはサッカーだと答えた人のうち、55歳以上の人の割合は1%だった。一方、18~34歳の回答者のうちサッカーを挙げた人の割合は、バスケットボールと同率の11%。さらに、この年齢層で野球と答えた人は、わずか6%だった。
今年開催されるサッカーのワールドカップロシア大会に、米国代表チームは出場しない。このことから見ても、調査結果はさらに印象的なものだと言える。特に人気を後押しする勢いや、毎日のようにサッカーが話題になることがない中でも、サッカー人気は高まっているのだ。
米国では、サッカーは極めて現実的な問題に直面している。既存メディアの多くはトークショーやニュース番組で野球やアイスホッケーを取り上げることが多く、相変わらずサッカーを話題にしようとしない。そして、そうしたメディアの冷遇が、サッカーに対する「マイナーでニッチなスポーツ」との一般的な認識につながっている。
また、サッカーにとって最も大きな障害となっているのは恐らく、米国の主要なスポーツの中で唯一(少なくとも、現時点では)、世界最高の選手を国内のプロリーグに招くことができないという点だ。そして、これが要因の一つとなり、テレビやストリーミングで放映されるサッカーの試合は統制が取れない状況となっている。
メジャーリーグサッカー(MLS)や英国のプレミアリーグ、ドイツのブンデスリーガ、欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグなどの試合があちこちで放送されているが、どの試合も視聴率は振るわない。
ほぼ唯一の例外となったのは、 2015年の女子ワールドカップ決勝だ。この試合のもようは米国内の2500万人以上が視聴した。アメフト以外のスポーツで、これほど多くの人が一つの試合を見た例は、他にはほとんどない。
いずれにしても、今回のギャラップの調査結果は、今後起きることの前触れだと言えるだろう。インターネットが米国におけるニュースの伝え方や形態を確かに変化させたのと同じように、スポーツ観戦を巡る状況も変化している。