食で世界が平和になる? GABAと仏教の不思議な関係

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ここ最近巷で「GABA」という言葉を聞いたり、目にするようになりました。身近なところでは、チョコレートや飴、コーヒーなどに含んだ商品が売られています。

これは一体なにかというと、植物や動物、わたしたちの体内にも広く存在する天然アミノ酸のひとつで、γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)を略して、GABA(ギャバ)と呼びます。主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働き、興奮を鎮めたり、リラックスをもたらしたりすると言われています。

僕がなぜGABAの存在を気にかけるようになったかというと、「蕾菜(つぼみな)」という野菜に出会ったのがきっかけです。

この蕾菜もまた最近流行り始めた野菜で、アブラナの一種で、からし菜の変種とされています。地元である福岡県で品種開発されたのですが、僕が生まれ育った頃にはなく、平成19年から市場での販売が始まりました。一般的なからし菜が葉を食用とするのに対し、この蕾菜は、一株で4〜5kgの大きな株から出てくるわき芽(蕾)の部分を収穫し食用としています。

2年ほど前、この蕾菜を東京のお店でスタッフが使い始めました。最初は地元の野菜であること以外何も感じていませんでしたが、ある日、地元の野菜ということでニースの自宅へ持ち帰り、シンプルに茹でて食べてみると……なぜかホッとする。「どうしてだろう?」とこの野菜のことをもっと詳しく知りたくなり調べてみることにしました。

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蕾菜と似たイタリアの野菜、プンタレッラ。気性の荒いローマっ子が四旬節(肉を節制する期間)中に食べていると聞き、これにもGABAが含まれているのでは?と調べている。

この野菜がどうして生まれたのか? そしてどんな成分が含まれているのか? そこでGABAの存在に気づかされました。それからGABAの成分が入っている野菜は他にはどういうものがあるのか、GABAってどういう効用があるのだろうと調べてみると、非常に興味深く、多くの気づきがありました。

まず、GABAを多く含んでいるのは、トマト、アスパラガス、ジャガイモ、ナス、カボチャなどの野菜。みかん、発芽玄米、蕎麦にも豊富ですし、キムチや漬物などの一部の発酵食品の中にも含まれています。効用としては、リラックス効果と安眠効果。中性脂肪やコレストロールを抑えたり、血圧を下げたり、肝臓、腎臓の動きを促進してくれたりします。

そうして調べていくうちに、今では食生活の中でGABAがどういう食材の中に多く含まれているか探るのが癖になっています(笑)。
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文=松嶋啓介

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