シリコンバレー在住の戦略コンサルタントの2人に本音で語ってもらう連載第2回は、最先端のオンライン広告のアルゴリズムを試すための「ビヘイビア公開人体実験」!
渡辺:仲間うちでフェイスブック広告がすごいという話になってはや数年。
奥本:みんなで一緒にお買い物に行って帰ってきたら、お店で見たお洋服がフェイスブック広告に出たって騒ぎになったときからだから、3年ぐらいじゃない?
渡辺:そうそう、私が店の鏡にむかってあててみたカラーブロックのトップス。棚にあるときはいいなと思ったんだけど、鏡で見たらものすごい変で「こんなの誰が買うんだろう」と思ってやめたんだよね。
奥本:でも、家に帰ってラップトップを立ち上げたら……
渡辺:そう、いきなりそのトップスがフェイスブックの広告に出てきた。そのアルゴリズムに感心して、「そんなに言うなら」と思ってオンラインで買っちゃったんだけど、やっぱりあれは失敗だった。肘から先が白くてピタピタのデザインで、遠くから見たら両手首に包帯巻いてるみたい。実際に「怪我したのかと思った」と言われたこともあったよ。
奥本:しかも、そのブランド自体それまで買ったことがなかったって言ってたよね。それだと広告が出てくる理由が、単品だけでなくブランド丸ごとあまりないじゃない。「気持ち悪いね、どういう仕組みなんだろう、偶然なのかしら」って、一緒に行った友達といろいろなセオリーを出して盛り上がったのも今となっては遠い昔だわ。
渡辺:あのときは、店で友達があれこれ試着するのを待ちながら、かなり長い時間フェイスブックアプリ立ち上げて見てた。だからGPSである程度までどこにいるかわかるのは当然として、どうして手に取った服がわかったのか、というのが大いなる疑問だったんだよね。
奥本:「店内のカメラで画像解析してるんじゃないの?」とか色々話したよね。
渡辺:このあたりはフェイスブックのお膝元でもあるわけで、もしかしたら「リアルな店で手に取った品を広告に出したらクリックスルー率がどれくらい変わるか」というテストのために、誰かがこっそり見てて「こいつが手に取ったのはこれだ」とか手作業で入力してたりして。昔の話だし。
奥本:あと、そのときは「フォルスポジティブ、つまり、ただ偶然の広告表示に勝手に驚く」というのもあるかも、とも話し合ったのだけれど、その後「絶対ありえない」ということがどんどん増えてきた。
渡辺:もはや「リアルの世界で見たもの、話したこと、聞いたことがそのまま広告に出てくる」というのがフェイスブック上では当たり前になった感じ。
奥本:そうそう。つい最近、息子と一緒にショッピングモールに行ったときに、知らないブランドのショーウィンドウのお洋服を眺めながら息子のことを待っていたのね。家に帰ってフェイスブック開けたら、ディスプレイされていたお洋服がそのまま広告として出てきた。GPSの位置情報からジオ・ターゲティングされている分にはそうそう驚きはしないのだけど、ショーウィンドウにディスプレイされていた服とマッチングされているのにはびっくりした。
渡辺:そういう技術はもうあるからね。GPSだけじゃなくてWiFiも使うと誤差1メートルくらいまではわかるはず。30センチまで可能、って言っている会社もあるけど。あと、展示物側に電子的なタグを仕込んでおくとか。