──それらにスタートアップはお金を支払う流れとなっているのですか?
MaGICは非営利団体につき、お金をとることもエクイティを取得し投資することもしていません。宿泊施設やインキュベーション施設、飛行機のチケット、マーケティング用の費用の支給、そしてメンター等様々なサービスを提供していますが、お金をいただく代わりに条件を設けています。“giving-back-program”というもので、マレーシア国内の大学・教育機関で何らかのアクティビティをし、アントレプレナーとしての経験を伝播させることです。
──マレーシアのCVCによる投資やオープンイノベーションの状況はどうですか?日本の場合、CVCは独立系VCよりアクティブな投資をする傾向にあります。
現在、企業を啓発している段階です。投資も多いとは思えません。大企業サイドのマインドセットを変えることが大事だと考えています。MaGIC運営チーム内に大企業とスタートアップとの協業を促す専属チームを設け、銀行やユニセフ等様々な分野の企業へオープンイノベーションの啓発やパートナーシップ相手の探索等行っています。
大手企業とスタートアップの協業を実現するには、具体的なコミットメントが必要
──大手企業とスタートアップが協力するための障壁・課題はどこにあると思いますか?
協力するという発想そのものがまだまだ浸透していないと思います。「そんなリスキーなことをしなくても事業は成り立つ」と、協業を避ける保守的な考え方があります。パートナーになると容易に言ってくれますが、問題はそこに対して求められる具体的なコミットメントをイメージしてくれていないという点です。
スタートアップを賞賛するも、実際組むとなると「リスク」と捉える。オープンイノベーションへの姿勢はマレーシアも変わらないようだ。生き残る会社は時代に合わせ変化を遂げてきた。リスクを恐れず挑戦し、失敗もたくさん重ねている。オープンイノベーションを単なるブームで終わらせないためにも、成功は挑戦と失敗の先にあることを忘れず、アジアでも通用する成功事例を生み出していきたい。