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アートアドバイザリー、AKI ISHIZAKA社長。

飛青磁瓶(龍泉窯 元時代・13〜14世紀 重要文化財)(photograph by Shigefumi Kato)

中国・南宋の時代の青磁をはじめとする中国陶磁は、日本では古来より「唐物(からもの)」として憧れの眼差しを向けられてきた。室町時代の足利将軍家のように、その魅力に取りつかれて自ら収集に乗り出したエピソードも枚挙にいとまがない。

現在、開催中の「イセコレクション 世界を魅了した中国陶磁」展に展示されている名品もまた一人のコレクターの情熱によって誕生した。しかし、コレクションが形成されたのはこの平成年間だ。

イセコレクションのオーナーである伊勢彦信氏(1929年〜)は、鶏卵の生産販売の世界的なリーディングカンパニー、イセ食品の創業者にして会長。昨年には、artnetによる世界のアートコレクタートップ100の45位にランクインしている。アートの収集はフランス印象派から始まったが、ピカソなどモダンマスターから琳派絵画まで幅広い。しかし、その中心は中国陶磁だ。


フランス外務省迎賓館で行われたパリ展晩餐会で挨拶する伊勢彦信氏。

これまで、まとまって作品を見られる機会がなかったが、今年のパリ・ギメ東洋美術館での展示(6月21日〜9月4日)を経ての帰国展が満を持しての初公開となった。会場は、安宅産業の元会長・安宅英一が昭和に築いた日本を代表する陶磁コレクションを擁する大阪市立東洋陶磁美術館。

88点の展示作品は、紀元前・戦国時代の原始青磁から、19世紀・清の時代に作られた華麗な五彩にわたり、中国陶磁の流れを一通り辿ることができる。中でも、伊勢氏が特に心惹かれてきたのは、宮廷向けに作られた官窯だという。

かつて氏は、中国陶磁の魅力について「端正、一点のゆるぎもない」と語っているが、かたちや文様の厳密さとシャープさなど、中国陶磁のエッセンスが凝縮された展示だ。パリ展では、「日本人の美意識によって選び抜かれた中国陶磁」として紹介されたという。

「唐物」を通じて眼力を鍛え、美意識を育んできた日本美術の歴史についても思いを馳せたくなる展覧会だ。

編集=フォーブス ジャパン編集部

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