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Health2.0の共同創設者 マシュー・ホルト氏

世界の医療・ヘルスケアの最先端テクノロジー(ヘルステック)を紹介するグローバルカンファレンス、Health2.0。米国を中心に世界各国でヘルステックとベンチャーキャピタルの媒介役をしてきた。2017年12月には東京都内で「Health2.0 Asia – Japan2017」が開催される。

Health2.0の共同創設者、マシュー・ホルト氏に世界のヘルステックの潮流と日本の現状、将来の可能性について尋ねた。

-世界のヘルステック企業の現状を教えてください。

以前は「SMAC」と呼ばれるソーシャル、モビリティ、ビッグデータ、クラウドといった技術を使った企業をヘルステック企業と呼んでいたが、現在そういった技術はいたるところで使われている。最先端のAIからクラウドやウェブアプリを使ったものまで、新しいヘルステック企業に対する投資も増大している。

近年は、米国だけでなくそれ以外の国々での投資が増えた。過去2、3年に中国で巨額の投資があったし、伸び悩んでいたヨーロッパも出資や企業買収が増えている。

例えば、mySugrという会社。糖尿病の患者のためのサービスを展開しており、世界的な製薬・ヘルスケア企業のロシュ社が買収した。バビロン・ヘルスという主に英国を拠点としている会社も今年6000万ドルを調達。以前の資金と合わせて、総額1億ドル近くの資金を調達したことになる。米国の巨大ヘルステック企業と同等の評価額だ。大規模なヘルステックへの投資が世界中で起きている。

−日本のこの分野での可能性をどう見ますか。

日本は大きな可能性を秘めていると思う。理由は三つ。ひとつは電子カルテ普及率が低いこと。2000年代、ほとんどの先進国が苦労して電子カルテを導入した。そういった国々での電子カルテの使い方を見てみると、医師はオフィスにいる時間が長く、電子カルテをパソコンで使っている。日本は医師がオフィスにいる時間が少なく、電子カルテを使っている医師は全体の3割程度しかない。

米国は7割、多くの先進国は8割から9割で、デンマークではほぼ全ての医師が使っている。しかし、この電子カルテシステムも古くなりつつある。すでに古いものが普及していると、新しいものに移行するまで時間がかかる。例えるなら固定電話や電話そのものが全く普及していなかった新興国に一気に携帯電話が広がったように、日本で最先端のヘルステックが一気に広がるかもしれない。

次に、日本は「LINE」などのコミュニケーション・ツールが普及しており、そういった技術に強い。最先端のヘルステック技術でも、導入されたら消費者がすぐに適応できる可能性が高い。

三つめに、他の国から見てとても魅力的なのは、政府と大企業がスムーズに連携できる点だ。確かに、遠隔診療や診療報酬に関しては規制改革が必要だが、政府が本気で規制改革をやると決断すれば、直ちに変化を起こせるインフラがある。米国や他の国ではそのインフラがないために変化が進みづらい。

もうひとつ、日本が特異な点を強調したい。それは、高齢化社会を抱えつつ、移民労働者及び全体の労働者人口が比較的少ない点だ。ヨーロッパや米国では多くの移民労働者を受け入れており、介護などの比較的賃金の低い仕事についている。一方、日本ではこれらの仕事をテクノロジーが代替するのではないかと期待している。急進化を遂げてきたロボティクスが今後10年から15年の間に日本で飛躍的に普及するかもしれない。

編集=Forbes JAPAN編集部

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