ビジネス

2017.12.17 11:00

経営で行き詰まったら「ミドリムシ」視点で考える

出雲 充(左)、漆原 茂(右)


経営はプロフェッショナル集団のチームプレイ
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漆原:学生さんと話すと、経営者が全部やらなくてはならないと思っていますが、違います。むしろチームですよね。チームを束ねる人が社長であったり、CEOであったり。それぞれのプロフェッショナルが切磋琢磨するシステムを作れば十分です。

僕の場合は自分の苦手なことを知っていて、それを人に任せるのが得意です。たとえば創業してから一番真剣に探したのがCFOです。うちのCFOの高橋敬一はすごいやつで、僕は全幅の信頼を寄せている。彼にお願いしているのは、「僕が間違っていたら言え」ということ。僕の言うとおりにやったら困るわけです。

CFOの重要な役割は資金調達と決算業務ですよね。その分野で高橋は真のプロフェッショナルなんです。大手企業ですら黒字に見せかけるために不正をすることがあります。でも、ウチでは絶対にありえない。赤字でも正々堂々と決算します。一点の曇りもないことこそが彼のプライドだからです。事業の中身は僕に任せてもらっているけれども、彼が資金繰りでNOと言えば僕は絶対に止まります。そんな良い関係です。
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出雲さんのところはどうやってチームができたのですか。

出雲:ミドリムシには、いい人が勝手に来ます。ミドリムシやっている人には悪い人がいないんですよ(笑)。そういう人じゃないとミドリムシなんかやらないですよね。

漆原:それはそうかも(笑)。特に、かつては、ですよね?

出雲:はい。そういう意味ではありがたいことにチームでは困ったことがないですね。最近でこそ求人広告を出していますが、長年、出していませんでした。だって「ミドリムシを一緒にやりましょう」と言っても意味がないじゃないですか。「ミドリムシは好きじゃないけれども、仕方ないからやろうか」と言うわけがない(笑)。

販売など自分の仕事に自信がある人ほど本物の素材を探していて、「誰も売ったことのないミドリムシを僕なら売れる!」という人が来てくれる。「ミドリムシが本物だったら私がやると花開きます」という映画のような話で、すごいなっていう人が来てくれるんですよ。

漆原:プロフェッショナルをひきつけるテーマかどうかが重要そうですね。


漆原 茂◎ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長。1987年に東京大学を卒業。1989年からスタンフォード大学研究所客員研究員。2000年に戦略的ITのコンサルティング企業、ウルシステムズを設立し、代表取締役社長に就任。2006年ジャスダックにIPO。シリコンバレーの最新動向に精通し、先端テクノロジーとベンチャーをこよなく愛するエンジニア。

出雲 充◎株式会社ユーグレナ 代表取締役社長。1980年広島県生まれ。東京大学に入学した98年、バングラデシュを訪れ深刻な貧困に衝撃を受ける。2002年東京三菱銀行に入行。05年株式会社ユーグレナを設立し、東大発バイオベンチャーとして注目を集める。同年世界初のミドリムシ屋外大量培養に成功、ミドリムシ食品を事業化し、化粧品やバイオ燃料など幅広い分野での展開を目指す。

インタビュー=谷本有香 構成=星野陽子 写真=藤井さおり

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