「安全運転をうながす」アプリが保険業界に新風を巻き起こす

「トゥルーモーション」創業者のブラッド・コルドバ(写真=マイケル・プリンス)

自動車保険会社が、年齢や事故履歴で加入者のリスクを査定していたのは昔の話。今、よそ見運転などを感知するモバイルアプリが、業界に新風を巻き起こしている。


2014年初め、自動車保険でアメリカ第4位のプログレッシブ社は、モバイルアプリを導入するためにコンペを実施した。加入者のマイレージ、運転の時間帯、急ブレーキをかけているかどうかなどをトラッキングするのが狙いだ。

コンペに勝利したのは、1日18時間も働いてアプリを完成させたボストン拠点のスタートアップ「トゥルーモーション」だった。それまで顧客がいなかった同社は、これを機に8件もの新規契約を獲得。17年の売上高は1500万ドル(約17億円)に達するとフォーブスは予測している。

かつて保険会社は、性別や年齢、住所、交通事故履歴などによって加入者のリスクを査定していた。だが最近では、運転習慣のデータのほうが、事故を起こす確率を正確に推測できることがわかっている。

トゥルーモーションのアプリは、本人が運転しているのか同乗しているだけなのか、運転中にメールを打っていないかどうかなども認識できるという。

創業者の1人が、ブラッド・コルドバ(27)だ。コルドバは、自分と同じくトラック運転手を父に持つジョー・エイデルマンと意気投合し、MITの博士課程を中退して起業した。

11年前、携帯電話で通話中の運転手が彼の車に突っ込み、事故を起こした。データを活用して運転習慣を改善したいという思いの原点は、そこにあるという。

翻訳=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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