2014年初め、自動車保険でアメリカ第4位のプログレッシブ社は、モバイルアプリを導入するためにコンペを実施した。加入者のマイレージ、運転の時間帯、急ブレーキをかけているかどうかなどをトラッキングするのが狙いだ。
コンペに勝利したのは、1日18時間も働いてアプリを完成させたボストン拠点のスタートアップ「トゥルーモーション」だった。それまで顧客がいなかった同社は、これを機に8件もの新規契約を獲得。17年の売上高は1500万ドル(約17億円)に達するとフォーブスは予測している。
かつて保険会社は、性別や年齢、住所、交通事故履歴などによって加入者のリスクを査定していた。だが最近では、運転習慣のデータのほうが、事故を起こす確率を正確に推測できることがわかっている。
トゥルーモーションのアプリは、本人が運転しているのか同乗しているだけなのか、運転中にメールを打っていないかどうかなども認識できるという。
創業者の1人が、ブラッド・コルドバ(27)だ。コルドバは、自分と同じくトラック運転手を父に持つジョー・エイデルマンと意気投合し、MITの博士課程を中退して起業した。
11年前、携帯電話で通話中の運転手が彼の車に突っ込み、事故を起こした。データを活用して運転習慣を改善したいという思いの原点は、そこにあるという。