「AIは独自の意思を持ち始める可能性がある」とホーキング博士はコンピュータで生成された音声で述べた。「AIは人類にとって最悪、もしくは最良の結果をもたらす可能性がある」
AIやロボットは既に人間から仕事を奪い始めているが、同時に社会を前向きな方向に変える力を秘めているというのが博士の見解だ。ただし、偶然に任せていては良い結果は得られない。AIが人間社会に役立つものにするためには、やらねばならない事が数多くあるとホーキング博士は主張した。
Web Summitの様子(Horacio Villalobos - Corbis / gettyimages)
科学者やテクノロジーに関わる人々は、この問題に注意深く対処する必要がある。グーグルやアマゾン、アップルやフェイスブックといった企業は、大きな責任を担っている。
「企業や技術者たちはAI技術を磨き上げ、ビジネス的な成功を追い求める前に、一度立ち止まって人間とテクノロジーとの関係について考えてみる必要がある」と博士は語った。
業界のガイドラインや法の整備も検討すべきだとホーキング博士は述べている。AIについて同様の懸念を持つのは博士だけではない。イーロン・マスクもAIが人間以上の知性を持ちはじめる脅威について警鐘を鳴らしている。
博士は、AIは我々が想像するよりもずっと早く進化を遂げ、数十年後には人間の知性を超える可能性があると述べた。世界中の技術者たちは、この脅威を前に正しい認識を持つべきだというのが彼の主張だ。
「我々は今、新たな時代の入り口に立っている。科学やテクノロジーに関わる人たちは、新たな覚悟を持って仕事にとりかかり、人類全体にとっての幸福を考えていく必要がある」とホーキング博士は述べた。