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nikitabuida / Shutterstock.com

ヒアラブル(耳に装着するウェアラブル機器)をiPhone並みに普及させることを目指すスタートアップとして注目を浴びた企業、「ドップラー・ラボ(Doppler Labs)」が事業停止を発表した。同社はヒアラブルデバイス「Here One」の発売を開始したばかりだが、事情継続のための資金調達を果たせず、この決断に至ったという。

同社CEOのノア・クラフト(29)はフォーブスの取材に「4年間の努力がこのような結果に終わり、非常に残念でならない。数週間前まではこんな事態は予測していなかった」と述べた。

サンフランシスコ本拠のドップラー・ラボはこれまで5000万ドル(約57億円)の資金を調達し、2016年のフォーブスの「次世代のスタートアップ企業(Next Billion-Dollar Startups list)」にも選出された。クラフトは今年のフォーブスの「30アンダー30」(30歳未満の重要人物)にも選ばれている。

ドップラー・ラボの創業は2013年。クラフトは音楽業界と映画業界のバックグラウンドを持ち、スクエアやピンタレストの出資者として知られる投資家のフリッツ・ランマンと意気投合し同社を設立。

ヒアラブルデバイス「Here One」は音響AR(拡張現実)を実現した革新的デバイス。野球観戦中に実況解説が聞けたり、眠りにつきやすいように周囲の音量を調節できる機能を持ち、価格は299ドルだ。

米国では昨年夏に補聴器の販売の規制が緩和され、店頭販売が可能になったことにより、Here Oneの売上も増加が見込まれた。ドップラー・ラボは今年、マイクロソフトの製品部長を務めたBrian Hallらを会社に招き入れていた。

クラフトによるとHere Oneは非常に優れたテクノロジ−を実現したが、売れ行きは今ひとつだったという。同社は次期モデルの「Here Two」の開発を進めてきたが、この製品の発売までの資金調達が出来なかったという。

「ハードウェア分野の競争環境は非常に厳しいものになっている。シリコンバレーの投資家たちはこの分野への出資を、ハイリスクを理由に拒絶している」とクラフトは話した。

新たな資金調達に向け、クラフトは現在の企業価値を下回るバリュエーションでの交渉にも応じていたという。彼らが必要としたのは3500万ドルだった。しかし、複数の投資家らと交渉を重ねた結果、調達のめどは立たなかった。

事業停止にあたり、クラフトは同社のテクノロジーや製品の他企業への売却も検討しているという。また、従業員らの新たな雇用先探しにも乗り出した。現金が底をついてしまう前に事業停止の決断を行い、無用な混乱を避けたいとクラフトは考えている。

「この先に広がっていたはずの未来について考えると、残念でならない」とクラフトは話す。「ドップラー・ラボのテクノロジーには絶対の自信があり、会社も健全に機能していた」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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