フェイスブックは、2016年に企業向けボット作成サービス「メッセンジャー・プラットフォーム」を開始した時、企業によるボット技術活用の可能性を把握していたが、同社プロダクトマネジャーのケマル・エル・ムジャヒドいわく、世界中の企業がとても独創的な方法でチャットボット機能を使い始めたことに、同サービスのチームは驚いたという。
万人向けセール情報の発信や大衆向けコミュニケーションのような従来型の手法に頼る代わりに、ボットはリアルタイムで顧客一人一人のニーズに合わせたコミュニケーションを提供する。企業は、ボットのニーズを自社のメッセージや商品に合わせて容易にカスタマイズし、顧客にとって利用しやすく役に立つサービスとして提供できる。
顧客体験の構築で成功するためには、企業は自社のボットに何をさせたいのかを明確にする必要がある。集客を目的としたボットと、おすすめの製品の選択や顧客教育を目的としたボットでは、働きが異なるだろう。企業は、顧客がどのようにボットを使用しているか、そしてボットがどうすればカスタマージャーニーにおいて最も効果的な役割を果たせるかを、理解する必要がある。
好例は、フランスの化粧品チェーン「セフォラ」だ。セフォラは、フェイスブックボットを製品やサービスに関する顧客教育に活用している。同社のボットは、それぞれの顧客に合わせたメーキャップ方法の提案や、店舗案内、施術予約といったサービスを提供する。ボットの手助けにより、顧客は自分が探している商品の理解度を深め、はるかに良い体験を得ることができる。