気がつけば、日本の秋にもすっかりハロウィン文化が定着しました。カボチャという元々日本人になじみの深い食材をテーマしたイベントは、フォトジェニックで女子との相性は抜群。さらには女子の「変身したい」願望にも火をつけて、絶妙な化学反応を起こしています。
そのハロウィンに、今年、変化が起きています。仮装して街に繰り出し、大勢の人と楽しむハロウィンから、おうちで親しい仲間と楽しむハロウィンがより好まれるようになってきているのです。
サッカー日本代表の試合など、渋谷のスクランブル交差点を舞台にしたお祭り騒ぎは、この5年ほど盛り上がりを極めています。ハロウィンも同様、念入りな仮装姿で渋谷や六本木へ出かけ、見ず知らずの人とも「仮装した非日常」を共有し合い、一体感をもって盛り上がる。いつもの居酒屋やパブもハロウィン仕様になり、その日ばかりは近くのテーブルに座る人とも気軽に話す…‥そんな「街」を舞台にしたハロウィンは、もはや定番になりました。
よりハロウィンらしさを追求し、可愛いコスプレ姿からリアルなゾンビ姿へと仮装の様子を変えるなど、新たな刺激を求めて工夫をしてきた女子たちは今年、「舞台」を変えるというフェーズに到達しました。街ではなく、家。クローズドな空間で、親しい仲間だけと過ごすハロウィンです。
この流れが生じた理由を、私は下記の2点と分析しています。
まず、個人がシェアする力を持ったこと。これにより、不特定多数の誰かとの一体感を味わい、不特定多数の誰かの視線を浴びて、その非日常を楽しむというスタイルが変わりました。
家の中で気心知れた「仲間」と羽目を外す。写真や動画として、完璧につくりあげた世界観をSNSで発信すれば不特定多数の人とシェアすることができる。普通の個人が世の中と繋がる力を持てるようになったからこそ、小規模でクローズドな集まりが、より意味を持つようになるのだと感じます。
今、インスタグラムのライブ機能やLINE LIVEを始め、ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」、トークアプリ「755」などリアルタイム動画発信が流行っています。まだまだ一般人は観る側でいることが多いものの、スマホを通じた発信に慣れた女子たちにとって、必ずしも街に繰り出す必要性はないのです。
自宅のリビングやホテルの一室、レストランの個室。クローズドな空間に仲間と集まって、コスプレを楽しむ。そして、その様子を世界に発信する。ハロウィン女子会プランと称してバルーンや衣装、特別フードメニューを用意するシティホテルも少なくありません。
アウェイではなく、ホーム。気心知れた縄張りからの発信だからこそ、素で楽しめますし、写真や動画であればクオリティのコントロールも可能です。発信先は無限なので、内輪で盛り上がっていても、世界中からリアクションがもらえて、世の中との一体感も得られるのです。