ロイターが中国紙「Economic Daily News」の報道を引用しつつ伝えたところによると、アップルはiPhone 8 及びiPhone 8 Plusの製造台数を需要の少なさを理由に50%近く削減する、前代未聞の措置に踏み切ったという。
関係筋はEconomic Daily Newsの取材に対し、アップルが発売間もない端末の生産台数を引き下げるのは、iPhoneの歴史が始まって以来のことだと述べた。実際、これまでは新型iPhoneの発売日には長い行列ができ、アップルは「需要に応える生産台数を確保できない」とアナウンスするのが通例になっていた。
iPhone 8や8 Plusの売上不振はこれまでも噂されてきたが、今回のロイターやEconomic Daily Newsの報道が正しいとすれば、2014年のモデルをルーツとしたこれらの端末は、既に盛りを過ぎてしまったようだ。アップルは11月2日に第4四半期決算発表を控えているが、そこで公表される数字は製品ごとのものではなく、次期決算に反映される新型モデルの売上は発売後数週間のものでしかない。
アップルはこれまでの端末に関しては、即座に発売後初週末の記録的売上を発表していた。iPhone 5の場合は500万台、iPhone 5Sは900万台、iPhone 6とiPhone 6 Plusは1000万台、さらにPhone 6S とiPhone 6S Plusは1300万台だった。
アップルはその次のiPhone 7とiPhone 7 Plusのリリース時にこのパターンを破り、その理由を「初期の売上は需要ではなく供給量によって決められるからだ」とした。しかし、今回のiPhone 8 及びiPhone 8 Plusに関し、この説明が通用しないことは明らかだ。
ただし、ここで大事なのは8や8 Plusの出足が遅いという理由だけで、アップルの将来に希望が持てなくなった訳ではないということだ。
アップルファンの多くはiPhone Xの発売を待ちわびており、これが8や8 Plusの買い控えにつながったとの見方もある。iPhone Xの発売直後の生産台数はごくわずかでしかないが、2018年以降に生産体制が確立されれば、アップルは再び記録的売上を叩き出すとの見方も強い。
筆者は個人的には、iPhone 8や8 Plusの苦戦の原因の全てが、iPhone Xにあるとは思っていない。1100ドルを超える高額なスマホは、誰でも手を出せるものではない。アップルはiPhone 6シリーズをベースとしたデザインを、最新端末に継承した訳だが、ユーザーから見ると新鮮味が感じられない点も売上不振の原因の一つかもしれない。
しかし、2018年に入るとアップルは再び売上を回復し、2017年の失点を相殺することになるだろう。間もなく発売されるiPhone Xに続いて、2018年にアップルはさらなる新端末を発表するとの報道も流れている。