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I write about science, technology and the cultural ripples of both.

Photo by OPOLJA/shitterstock

仕事中は座っているべきか、立っているべきか──。ここ数年、健康に関して大きな注目を集めている議論の一つだ。この問題に関しては、「座っていることは喫煙に等しい」という例え方も(100%正しいかどうかは別として)、よく耳にするようになっている。

悪影響が喫煙と同程度とまでは言わないとしても、この点について考えてみることには合理的な根拠がある。今年9月末には科学誌サイコロジカル・サイエンスに、「立っていることが思考に良い影響を及ぼし得る」という主張を科学的に裏付ける新たな研究結果が発表された。

研究チームはボランティアで調査に参加した人たちを2つのグループに分け、一方には座って、もう一方には立ったまま、「ストループテスト」を受けてもらった。このテストは1930年代半ばに心理学者ジョン・リドリー・ストループが報告した「ストループ効果」の計測のために考案されたものだ。

ストループ効果は脳が異なる刺激を同時に受けたときに経験する判断の「遅れ」を説明するものであり、脳の処理能力を測る上で最も信頼されている方法の一つとされる。

私たちは通常、色の名前をその色で書いた文字(青や赤のインクで書かれた「青」、「赤」などの色を示す語)を見たとき、それぞれに使われているインクの色を即座に述べることができる。だが、色の名前が別の色で書かれていた場合(赤のインクで「青」など)は、インクの色を特定するまでに、ごくわずかながら余計に時間がかかる。この時間差が、脳の情報処理の速度と私たちの注意力の向け方における違いを示すのだ。

研究チームが行ったストループテストの結果では、座っていたグループと立っていたグループの間にわずかな差が確認された。前者は言葉が示す色と使われているインクの色が同じ場合と違う場合、インクの色を答えるのにかかった時間に120ミリ秒の差があった。一方、後者の場合、時間差は100ミリ秒だった。僅差ではあるが、私たちの脳が1日のうちにどれだけ多くの情報を処理しなければならないかを考えれば、このわずかな影響は何倍にも増すことになる。

違いを生むのは「ストレス」

このような結果が得られる理由としてはまず、私たちにとっては立っている方が「負担が大きい」ことが挙げられる。身体的にきついと感じられるだけでなく、脳が管理すべき事柄も増えるためだ。脳は筋肉のわずかな収縮をコントロールしながら、体重のバランスを取らなくてはならない。立っているときに受けるその他の複数の小さな負担は、脳の認知機能に対するストレスを高めることになると考えられる。

ただ、圧倒されてしまうほどの大きさではなく、管理可能な小さなストレスが私たちの認知能力を高めることは、過去の研究からすでに明らかにされている。

新たな研究結果が示すのは、立っていることが私たちの脳の情報処理能力を引き上げるのにちょうど適切なレベルのストレスになっているということだ。わずかに増すそのストレスが、私たちの注意力を高め、その時点で行っている作業への集中力を高めると見られる。

立っていることと座っていることの違いがどの程度のものかは、まだはっきりとは分からない。だが、脳の情報処理能力で優位に立つことが最重だと思う人にとっては、立っている方がより良い選択だといえるだろう。過去の研究と合わせて考えれば、全般的な健康のための最善の策は、適度に立ったり座ったりすることだといえそうだ。

編集=木内涼子

 

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