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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

Chaikom / shutterstock

突然、妻が苦しみを訴え、意識を失った。いびきをかき出した。すぐに119番に電話をかけ、住所を告げる。5分ほどでサイレンが聞こえた。救急隊が駆けつけ、妻に声をかける。が、反応がない。救急車に乗せ、バイタルをチェックする。自分と子供も一緒に乗り込む。

だが、病院に向かうはずの救急車はなぜかその場を動こうとしない。運転席から緊迫した声が聞こえる。10分、20分と時間だけが経過していく。一刻を争う緊急時に、一体何をしているのか。

実はこの時、救急隊は患者を受け入れる医療機関を探しているのだ。

「受け入れ先は、救急隊が一軒一軒病院に電話をして探します。現場で応急処置と聞き取りを行った結果、心臓疾患が疑われるならこの病院、脳卒中ならこの病院ーと、ある程度のアタリを付けて電話をし、病状を説明して受け入れを要請しますが、医師の手が塞がっていたり、不在だったり、病床に空きがないなどの理由で断られることが多い。つまり、“時間をかけて説明した上で断られる”という徒労を繰り返すうちに、救急車の現場滞在時間は長引いていくのです」とバーズ・ビューCEO、夏井淳一は説明する。

2015年の119番通報から病院搬送までの平均所要時間は「39.4分」。実は、1995年の「24.2分」と比べて15分も遅くなっている。最大の理由は、受け入れ先の照会に手間取るようになったこと。

医療機関の側にも事情はある。現在の年間の救急出動件数は約600万件。20年前に比べ、およそ2倍に増えている。高齢化を背景にした救急医療へのニーズの高まりに対して、受け入れ側の施設の整備やマンパワーの補充は簡単には追いつかない。この需給のアンバランスが、今すぐにでも発進したい救急車にブレーキをかけているのだ。

「突然死」を減らすために

「日本で1年間の心臓突然死(発症から24時間以内に死亡する)の件数を知っていますか。約7万5000人です。自殺者の2万5000人、交通事故死の4000人と比べてもその数の大きさに驚くはずだし、まぎれもなく社会問題です。これを何とかしたかった」と夏井は言う。

あと30分、いや、5分治療が早ければ、助かったかもしれない命がある。この生命に直結する深刻な社会問題の解消に向けて、バーズ・ビューが開発した「e-MATCH(救急医療管制支援システム)」の運用が、国内のいくつかの地域で始まっている。どんなシステムなのか。

「一言でいえば、救急隊と病院のマッチングの最適化。地域のすべての救急医療機関と救急隊を一つのネットワークで結び、病院と患者の情報をリアルタイムで共有することで、最短時間で、治療が必要な患者を、治療可能な施設へ運ぶサポートをする仕組みです」

対象地域内のすべての救急車にタブレット端末を置き、救急隊員は、現場で得られた患者情報を入力する。その情報はクラウドを経由して瞬時に救急隊が選択した医療機関に送られる。

文=長田昭二

 

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