カリフォルニア大学ロサンゼルス校では、ジェフ・M・チェン博士率いる40名のチームが大麻研究センターの開設に向けて活動中だ。現在は医療用使用と副作用に関する研究がメインだが、いずれは学部を横断する組織を目指しているという。「大麻はいくつかの病気に対する安価かつ安全で効果的な代替治療薬となる可能性を秘めています」とチェン博士は話す。
医療目的で大麻を使用する人々がいる以上、大学が大麻に関する知識や技術を正規の学問として受け入れることは必須と言える。バーモント大学メディカルスクールでは2016年、「医療大麻」コースがスタートした。
大麻の化学成分、医療効果、使用法、大麻が法制度に与える影響などについて学ぶ同コースはこれまで毎回約80人が受講している。大麻そのものが教室に持ち込まれることはないが、学生は授業の一環でバーリントンのダウンタウンにある大麻薬局に行くことが可能だ。
化学成分について学ぶ回では、教授が大麻に含まれる有機化合物テルペンのサンプルを用意し、それぞれの相互作用や香りに与える影響を説明する。同メディカルスクールでは他に、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者を対象とした7週間のオンラインコースや8時間のオンラインモジュール(科目)も開講している。
大麻産業で働く人々を対象にしたコースもある。大麻に特化した教育機関として2007年に設立されたカリフォルニア州のオークスターダム大学は、大麻ビジネスの経営から栽培法まで幅広い講座を提供する。
その他、カリフォルニア大学デービス校では「大麻生理学」、オハイオ州立大学ロースクールでは「大麻の法律・政策改正」、ワシントン大学では「医療大麻と慢性痛」と題されたコースが開講中だ。
ワシントン州シアトルで大麻ビジネスの金融コンサルタントを務めるシャノン・ヴェトは、これらの大麻教育の広がりを歓迎する。「大麻にまつわる科学や法律が大学の科目になることで、デマではない本物のデータや知識を持った人々がより合法的な方法で業界に参入できます」
そう語るヴェトは、大麻業界を起業家やスモールビジネスにとって巨大なチャンスが潜む場所だと捉えている。「れっきとした産業だからこそ、最高の教育を受けた人々が必要なのです」