順位は世界中にいる米国の経営大学院(ビジネススクール)100校以上の卒業生およそ1万7500人に連絡を取り、卒業後と入学前の収入を調査。各校で経営学修士号(MBA)を取得するのにかかった機会費用(2年間の学費とこの間に前職で得られたはずの収入)を「投資額」として、卒業後の5年間で得た収入を基に割り出した「投資利益率(ROI)」によって決定した。回答を得られた卒業生の割合が15%以下だった大学、ROIがマイナスになった大学は、ランキングの対象外とした。
調査の結果、上位25校の卒業生が投資額を回収するまでにかかった平均年数は3.9年だったことも分かった。前回の2010年の調査では4年、世界金融危機前の1990年代後半には平均2.7年だった。
卒業までにかかった各校の学費は平均11万9000ドル(約1342万円)。この金額は過去10年間で60%増えているが、奨学金など、大学側の支援制度も拡充されている。
以下、「米国のビジネススクール・ランキング」上位10校を紹介する(金額は、卒業後5年間で得た「利益」と2016年の年収の中央値)。
1位:ペンシルバニア大学ウォートン校経営大学院/ 9万7100ドル(約1095万円)/ 22万5000ドル
2位:スタンフォード大学経営大学院/ 9万2500ドル/ 21万5000ドル
3位:ハーバード大学経営大学院/ 8万9600ドル/ 21万2000ドル
4位:ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院/ 8万4800ドル/ 19万5000ドル
5位:ダートマス大学タック経営大学院/ 8万1200ドル/ 20万ドル
6位:コロンビア大学経営大学院/ 7万5900ドル/ 20万3000ドル
7位:シカゴ大学ブース経営大学院/ 7万4800ドル/ 19万5000ドル
8位:マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院/ 7万2500ドル/ 20万1000ドル
9位:カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院/ 7万2400ドル/ 21万2000ドル
10位:コーネル大学ジョンソン校経営大学院/ 7万400ドル/ 17万2000ドル
多くがコンサル業界へ
ランキング1位のペンシルバニア大学ウォートン校を2012年に卒業した805人のうち、最も多く(79%)が仕事に就いた業界は、金融・コンサルティングだった。また、最も多くの卒業生(53人)が就職したのはコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー。そのほか、ボストンコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニー、デロイト、ゴールドマン・サックスで職を得た人が多かった。
過去のMBA取得者全体を見ても、最も高額の報酬を得ている人が集中するのはこの業界だ。
雇用情勢の影響
米国のビジネススクールでMBAを取得し、2012年に卒業した人たちは、雇用情勢の先行きが不透明な時期に仕事を探すことになった。世界金融危機がもたらした最悪の状況は脱していたが、全米の失業率は8.2%。大手銀行はサブプライムローン問題で被った巨額の損失から依然として影響を受けていた。
それでも、上位25校で学んだ人たちの90%は卒業から3か月以内に仕事に就くことができた。卒業生たちの昨年の平均年収は17万7000ドル。卒業後5年間の収入の年平均伸び率(物価の変動を除いた実質ベース)は、9.2%だった。
また、年収の増加率は2010年の卒業生たちとほぼ同水準だった。米商務省の経済分析局の統計によると、どちらの年度の卒業生も、過去5年間の収入の伸びが同2.7%だった全米平均を大幅に上回っている。