ミシガン大学の研究チームが先ごろ学術誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・スリープ・メディスン」で発表した研究結果によると、ビンジウォッチングとよく眠れないことは密接に関連していた。
研究チームは18~25歳の420人以上を対象に「睡眠の質」「疲労感」「不眠症であるか」「就寝前の(生理的・認知的)覚醒に関する状態」「ビンジウォッチングの習慣」など関するアンケート調査を実施した。その際、ビンジウォッチングは「連続ドラマの複数回をテレビやパソコン、タブレットで一度に続けて視聴すること」と定義した。
調査の結果、回答者の約80%以上が過去1か月以内にビンジウォッチングをしていたことが明らかになった。このうち40%は 1回のみ、28%は数回、14%は週当たり数回、こうした視聴をしていた。さらに、7%は調査の対象期間中ほぼ毎日、一気見をしていた(回答者の多くは大学生)。
ビンジウォッチングをする頻度が高い人ほど、不眠や睡眠の質の低下、日中の疲労感を訴えた。また、こうした結果は「認知的覚醒」の程度の高さによってほぼ完全に説明がつくことも分かった。
ただし、研究チームはビンジウォッチングについて、「多くの場合、意図して行っているわけではなく、たまたまそうしてしまう」のだと指摘している。「調査結果は、ビンジウォッチングの71%は話に深入りしてしまった結果、偶発的に起きる行動であることを示している」という。
では、そうしてしまうのはなぜなのだろうか?最近の番組が非常にうまく作られているということも理由の一つだ。「ストーリーが複雑であるため、見終わってもその内容についてあれこれ考えてしまう」「その結果、眠りにつくまでに余計に時間がかかるようになる。つまり、眠る前に気持ちをクールダウンさせるのに長い時間が必要になるということだ。そのため、睡眠全般に影響が及ぼされる」
また、番組の内容に気持ちが入り込んでしまうことが認知的覚醒の程度を高めているのかどうかについては、「今後さらなる調査を行うべき点として興味深い」という。
寝る前にスマートフォンやその他のガジェットを使用することが睡眠に悪影響を与えるという点については、以前から高い関心が向けられてきた。画面から出るブルーライトが生体リズムを司る脳の領域に影響を与えると考えられるためだ。一方、今回の調査結果は、ガジェットから「気持ちが離れない」という純粋に心理的な要素も、睡眠に問題をもたらしている可能性があることを指摘した。
テレビ番組から受ける認知的・知的な刺激は、私たちのテンションを高める。ネットフリックスが配信するドラマシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」の中で起きたことや次に何が起きるかについて思いを巡らせることが、私たちの気持ちをあまりにもそこに引き付け、眠れなくさせているようだ。「次のエピソード」をクリックする前に、この研究結果について思い出してみる必要があるかもしれない。