ミレニアル世代のお金とキャリア関連の情報を提供するキャッシュロレット(TheCashlorette)は8月23日、173の専攻課程(学士過程のみ)と卒業後の年収(中央値)、非就業率について行った調査結果を発表した。
同社の創業者サラ・バーガーは、「大学での専攻課程を決定する際には自分が興味を持つ分野であるというだけでなく、卒業後の就業機会と高い収入を得られる可能性についても考慮することが重要だ」と述べている。
「大学で何を学ぶか決めることは、仕事に関する希望を実現するための第一歩。就業に関する見通しや、どの程度の収入が見込めるのか、その仕事でキャリアアップを目指すならさらに高度な教育が必要なのかなどについて、十分検討する必要がある」
最も高収入が見込める専攻課程
学士号の取得後に専攻課程の関連分野で就業した場合、最も高収入が期待できるのは「石油工学」だった。卒業後初年度の年収(中央値)は約13万4840ドル(約1470万円)、非就業率は2.38%だった。
高い収入と確実な就業機会が期待できる専攻課程のトップ5は、以下のとおり。
・石油工学
・薬学/ 薬事行政
・地質工学/ 地球物理工学
・鉱山学/鉱山工学
・造船工学/船舶工学
ランキングの30位までに入った専攻課程は、大半がSTEM分野だった。
最も高収入を望めない専攻課程
一方、学士号を取って関連分野の仕事に就いた場合、最も収入が少なくなる可能性が高い専攻課程は、臨床心理学だった。年収(同上)は約4万3000ドル、非就業率は8.06%となっている。高い収入と確実な就業機会が最も期待できない専攻課程のトップ(ワースト)5は、以下のとおりだ。
・臨床心理学
・美術
・作文/修辞学
・福祉サービス/行政学
・スタジオアーツ(絵画や彫刻、インテリアやジュエリーのデザインなどスタジオ内で制作活動を行う芸術分野)
経営管理や歴史学、英語などSTEM分野以外で専攻希望の学生が多い課程は全て、ランキングの下位50%に入った。
こうした結果についてバーガーは、「学士号取得者だけに関する調査結果であることを忘れてはならない」と指摘している。例えば、臨床心理学の専攻でも修士号を取得すれば、長期的には学士号のみの取得にとどまった場と比べて高い収入を得ることができるだろう。
専攻が男女の賃金格差の一因に
そのほかバーガーが指摘するのは、女性の収入が依然、全体として男性を下回る理由が調査結果から分かるという点だ。
「STEM分野で学士号を取得する学生は、女子より男子の方が多い」「男女の賃金格差に関する議論が盛んだが、女性たちは大学の教科書を開く以前の段階ですでに、生涯にわたる不平等を選択しているのだ」という。
こうした状況の改善策の一つとしてバーガーが挙げるのは、STEM分野に進む女子学生を増やすことだ。そして、男性優位のSTEM分野の多くにおいて、文化を変えることへの取り組みを推進することだ。