四半期の損失500億円の「スナップチャット」に学ぶ不屈の闘志

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スナップチャットの始まりは2011年のことだった。共同創業者のエヴァン・シュピーゲルの父親のリビングルームで開発が始まったこのアプリは当初、「ピカブー」という名前だったがその後、スナップチャットとしてリリースされた。

ロサンゼルスで創業した同社は紆余曲折を経て、2017年3月に「スナップ」の社名でニューヨーク証券取引所に上場した。スナップの上場はテック業界で2014年のアリババ上場以来の規模として注目を集めた。現状でスナップの時価総額は140億ドル(約1.5兆円)。これは、バーバリーやコーチ、ハスブロやラルフローレン、ツイッターを上回る時価総額だ。

スナップチャットは「消えるメッセージ」や「タテ型動画」を採用した最初のアプリとして知られている。同社はその後も次々と新たな機能を投入し、ストーリーやレンズ、フェイススワップといった機能で若者たちを魅了した。

スナップチャットで最もエンゲージメントが高い機能の一つは2013年に投入されたストーリーだ。利用者らは平均で毎日25分、ストーリーを利用している。ユーザーは自身の「マイストーリー」を作成し、コミュニティの「ライブストーリーズ」にも参加できる。また、提携する外部企業のための「パブリッシャー・ストーリーズ」というコーナーも設けられている。同社の報告によるとアクティブユーザーの25%以上が、毎日1本以上のストーリーを公開しているという。

スナップチャットは今年6月、新機能の「スナップマップ」を導入した。スナップマップでユーザーは友達の現在地を確認したり、世界各地の出来事を楽しめる。スナップマップには同社が2億5000万ドルから3億ドル(約327億円)で買収したロケーションテクノロジー企業、Zenlyの技術が採用されている。

スナップチャットの試みがテック業界に新たな波を引き起こしたことに疑問は無い。しかし、ビジネス面では課題も多くソーシャルメディア界での生き残りをかけた戦いが始まっている。
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編集=上田裕資

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