インスタグラムのストーリーズの驚異的な成長ぶりからは、月間ベースで6億人のユーザーを抱えるインスタグラムと、その親会社のフェイスブックが全力でスナップチャットを潰しにかかっていることが見えてくる。
インスタグラムはスナップチャットが2013年に始動したストーリーズ(両者とも機能名は「Stories」)と全く同じ機能を自社のアプリに投入した。ストーリーズは24時間で消える、写真や動画を組み合わせテキストやステッカーを加えた投稿だ。スナップチャットのその機能は特にミレニアル世代やジェネレーションZと呼ばれる18から34歳の年代に好評だった。
しかし、インスタグラムによる模倣がこんなにも早く成功を収めたことは、筆者が日頃から述べているデジタル分野での競争原理が正しいことを裏付けた。それは、SNSの競争で物を言うのは新しい機能よりもベースとなる利用者数なのだということだ。だからこそ、ソーシャルメディアは利用者数に応じて評価額が決まり、運営側はユーザー数を極限まで増大させようとする。
今年3月にスナップチャットがIPOを果たす前から、筆者は彼らの今後の敵がSNSだけでなくデジタル動画全般になると警告していた。ソーシャルメディアの利用者や広告主は、デジタル動画のそれと重なり合う。つまり、スナップチャットはフェイスブックやインスタグラム、さらにはツイッターだけでなく、ネットフリックスやユーチューブとの戦いにも勝たねばならないのだ。
さらに、スナップチャットが彼らを模倣するインスタグラムとの競争に直面することはその時点で明らかだった。同じくフェイスブック傘下のWhatsAppも類似した機能のStatusを2月後半に導入済みだった。そして、ユーザー数が20億人に達しようとしているフェイスブック自身も3月後半になって、アプリにストーリーズ機能を導入した。
フェイスブックは彼らの巨大なユーザーベースを武器に、真っ向からスナップチャットに宣戦布告を行っている。インスタグラムは彼らのストーリーズ機能が早々と目標を達したことを宣言し、さらに利用者数を伸ばしている。フェイスブックのストーリーズやWhatsAppのStatusも、同様な成果を収めることは容易に想像がつく。
フェイスブックの成長はさらに続いていくだろう。スナップチャットは生き残りをかけて、さらに困難な戦いに挑まなければならないことになった。