AIのプラットフォーム狙う「次世代スマホ」Essential Phoneの潜在能力

courtesy of essential.com

「アンドロイドの父」として知られるアンディ・ルービンが次に狙うのは、アップルとサムスンの牙城を崩す新型スマホの開発だ。ルービンが設立した「Essential」は、最初の製品である「Essential Phone」を700ドルで近く発売開始する予定だ。筆者はEssential Phoneを数日間使用してみたが、その感想を以下に紹介する。

Essential Phoneのボディはチタン製で、背面はセラミック製だ。チタン製の方が、アルミ製に比べてスクリーンが割れにくいという。現段階で専用ケースはないが、Essentialは将来的に提供する可能性があるとしている。(背面にデュアルカメラとマグネット端子があるため、ケースはデザインが難しいと思われる)

「Galaxy S8」の曲面ディスプレイに比べると多少ごつい印象だが、iPhoneに比べて非常に持ちやすい。背面は、ロゴなどの記載がなくすっきりしているが、指紋の跡が残りやすく、何度もふき取らなければならないのが難点だ。

Essential Phoneは、最近の流行りのベゼルレスデザインを採用しており、ベゼルはディスプレイ下部に少しあるのみだ。ディスプレイはサイズが5.71インチ、解像度は2560 x 1312、縦横比は19:10となっている。フロントカメラがディスプレイ上部の中央に配置されているのが特徴的だ。

ホーム画面では、カメラスペースを除いて端末の上部いっぱいまで画像が表示され、ステータスバーのアイコンはカメラスペースの横に表示される。アプリを起動すると、ディスプレイ上部は黒くなるが、ステータスバーのアイコンは表示される。現在、Essentialは人気アプリメーカーと組み、インターフェースのカスタマイズに取り組んでいるという。

背面のマグネット端子でARデバイス連携

カメラ機能に関しては、改善の余地が大きいと感じた。背面のデュアルカメラは、1300万画素×2(カラー+モノクロ)で、「ポートレートモード」が実装されるとPhone 7 Plusのように背景がぼけた写真を撮ることが可能になるという。

Essentialによると、モノクロセンサーがより多くの光を取り込み、カラーセンサーと組み合わせることで光りが少ない場所でも鮮やかな写真を撮ることが可能だという。しかし、筆者が実際に撮影をしてみると、iPhone 7 Plusと比較して暗くてはっきりしない写真が多かった。現在、カメラアプリでは「オート」と「モノクロ」という2つのモードしか選択できない。動画撮影時の解像度とフレームレートは、4K 30fps、1080p 60fps、720p 120fpsの中から設定できる。

Essential Phoneのもっともユニークな機能は、背面のマグネット端子だろう。ルービンはブログの中で、今後専用アクセサリを数か月に一度のペースでリリースする予定だと述べているが、この目標は少し野心的過ぎるかもしれない。

Essentialは、サードパーティ製のアクセサリも充実させたい考えのようだが、端末が大ヒットしない限りはこれも難しいだろう。最初にリリースされるアクセサリは、200ドルの360度カメラだという。また、Essentialのエンジニアによると、次のアクセサリはARアプリ用センサーになる予定だという。

現段階でEssential Phoneを取り扱うキャリアはスプリントのみとなっており、販売台数は限られると予想される。Essential Phoneは、プロセッサにクアルコム製「Snapdragon 835」を採用し、メモリーは4GB、ストレージは128GBなど、他のハイエンドなAndroid端末と同等の機能を搭載している。

OSは「クリーンなAndroid」で、他のメーカーにありがちな不要なプリインストールアプリ等はインストールされていない。また、バージョンアップデートが2年間、セキュリティアップデートが3年間保証されている。
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編集=上田裕資

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