次のステップは、フリードマンが「ステークホルダー・カンバセーション(利害関係者との会話)」と呼ぶもので、家族や同僚、友人といった身近な人との話し合いだ。ここでの目標は、こうした人々の期待を理解することにある。
まずは自分が相手から何を求められていると思うかについて話し、その自分の想定に対する相手の意見を聞く。相手が求めること、必要とすることの具体例を探ろう。次に、相手にも同じ作業をしてもらい、自分が相手に持つ期待を理解してもらう。
このような会話がなぜ役に立つのだろう? 「こうした会話をすることで、重要ではないことに割く時間を減らし、重要なことに時間を割けるようになる。親しい人を大切にすることで、その人のことを考えて心配したり、気が散ったりすることが少なくなるからだ」とフリードマンは説明する。
こうした深い会話を持つことは怖いかもしれない。しかし、リーダーになりたいのであれば、これも仕事の一部だ。「これは、人々が自分に求めることを安心して打ち明けられ、自分が相手に求めることについてしっかり聞かせるために大変重要なスキルの一つだ」とフリードマンは言う。
最終ステップは、人生の複数の側面を改善する新しい行動を試すこと。トータル・リーダーシップに参加したあるコンサルティング企業のマネジャーは、妻子と一緒に過ごすために「必ず空ける日」を幾つか決めた。狙いは、家族生活だけでなく仕事生活も改善することだった。職場にいる時は仕事により集中できるようになり、同僚も彼の予定が明白に分かるようになった。
他の例では、同僚との仕事外での交流会を企画し始めた検査技師監督者の女性がいる。この活動により、チームの士気と効率を向上させ彼女の仕事生活の改善につなげ、コミュニティー領域も改善することができる。
家族、仕事、コミュニティー、自分の幸福という4つの領域がどのように重なっているかを、これまでとは異なった見方で考えてみよう。2~3領域、あるいは4領域すべてを、一つの新しい活動で改善できるだろうか? 新たな行動を2週間試した後、自分にこう問いかけよう。自分はこれでより幸せになっているか?