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大手保険会社メディバンクの新本社オフィス。メルボルン内数カ所に点在していたオフィスを集約。ABWの積極的導入と、社員の体験価値向上に取り組む。チームが必要に応じて最適な場を選択できるコラボレーションスペース。

世界のオフィスを自らの足で見て回るコクヨ主幹研究員、山下正太郎氏。オフィスの最前線を知り尽くす彼が語る「日本企業が目指すべき働き方の道筋」とは──。


今回Forbes JAPANで紹介した「世界のワークプレイス10選(欧米編アジア編)」の背景となる、オフィスの4つの歴史的展開を踏まえたうえで、今日の日本の働き方改革のベンチマークとなるオーストラリアの職場環境を紹介したい。

歴史的にオフィスがひとつの形態として完成したのはフレデリック・テイラーの科学的管理法の思想を色濃く受け継いだ「テーラリスト・オフィス」とされる。工場をメタファーにした「効率性」を追求したもので、ワーカーは、管理者による監視の下、仕事の工程をこなすパーツとしてベルトコンベヤーを想起させる環境に置かれた。

第二次世界大戦後の好景気に、第二の形態「ソーシャル・デモクラティック・オフィス」の時代がやってくる。欧州を中心に戦後の労働力不足を補うため、よりよい賃金ではなく、よりよい環境で人材獲得を狙った。ここでオフィスに初めて「人間性」が考慮される。快適でエンターテインメント性のある環境が追求され、監視ではなく、コミュニケーションを誘発するレイアウトやアメニティが設けられた。

第三の形態は、インターネットやモバイルツールが十分に普及した2000年前後からの「ネットワークド・オフィス」だ。さまざまなデジタルツールを駆使し、ワーカーが働くようになった。作業が物理的な場に縛られないことでワーカーのモビリティが高まり、オフィス空間はデジタルとアナログをつなぐ「柔軟性」を意識した場となった。一方で、デジタル空間にも働くフィールドが展開されワークとライフの境界が曖昧になったのもこの時期からだ。

このように2000年代までのオフィスは、効率性、人間性、柔軟性を重視してきた。そしてこの5年ほどで顕著になった第四の形態は「エコシステム・ハブ」だ。オフィスはもはや作業をする場という意味を失い、社内外の組織を超えて適切な人材が適切なタイミングで集合離散を繰り返すハブとして再設計されることとなった。

そこで重要視されているのがワーカーの「体験価値」である。より高度なナレッジワークが求められるなか、当のワーカーの労働意欲は近年、物理的なものではなく内面性を重視したものへと大きく変化した。滞在時間の短くなったオフィスには、思わず足を運びたくなり、心理的に満たされ、触発されるような体験価値が重要となったのだ。

この形態には大きくふたつの方向性が見えてきている。グーグルの運営する「キャンパス」のようにイノベーション人材といち早くコミュニティを作るような外部接点に主眼が置かれた場。もうひとつは、内部に重きを置いた、ワーカーが生活と仕事を統合させながらチームワークを行うNABのような場だ。


オーストラリアの4大市銀NABの本社オフィス内には、新しい顧客サービスの一環としてコワーキングスペースがある。起業家支援やネットワーク作りはもちろん、社員が日常的に外部と接点をもつことで変革意識を刺激する目的もある。

ここでは、後者のケースとして先進国オーストラリアの取り組みを紹介したい。筆者は、日本の大企業が昨今目指している働き方改革のモデルはオーストラリアにあるのではないかと考えている。

山下正太郎 = 文

 

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