ペンシルベニア大学ウォートン校のスチュワート・フリードマン教授(経営学)は、数十年前からこの考えを唱えている。
経営学修士(MBA)課程で「トータル・リーダーシップ」コースを教え、同じ名の書籍も書いている彼のアプローチは、人々に何が自分にとって最も重要なのかを真剣に考えさせるもので、多くの場合、家族やコミュニティー、個人の幸福などにより注意を向けるよう促す。
トータル・リーダーシップの考え方がうまく機能するかを調べるために、フリードマンは、企業幹部を務めるMBA学生300人以上を対象に、コース受講前後に調査を実施した。受講生のキャリア満足度は21%増え、自己評価に基づく自身の業績は8%改善。家庭生活での幸福感はさらに大きく改善した。
今年初めに発表された研究結果では、トータル・リーダーシップとライティングクラスを受講した助教授のグループは、対照群よりも研究をより速いペースで公表することが明らかになった。「彼らはより賢く仕事をした」とフリードマンは説明している。
トータル・リーダーシップの最初のステップは、自分の生活の4領域「仕事」「家族」「コミュニティー」「自分自身」を考えることだ。各領域の重要度を示すため100点を配分するとしたら、どんな割合になるだろうか? 次に、自分の時間とエネルギーをどこに集中するかを考え、同様の方法で注力度の点数を配分する。
フリードマンは、トータル・リーダーシップを受講前の企業幹部学生のデータをフォーブスに提供した。幹部らが仕事に割り当てた重要度の平均はわずか34点だったが、注力度は56点とずっと高く、他の3領域はないがしろにされていた。
このエクササイズ完了後は、内省の時間だ。自分自身にこう問いかけよう。今の時間の使い方は、どんな結果につながるのか? 変えるべきものは何か?