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江戸時代、堂島米会所が開設されたとき、商人たちは「旗振り通信網」を生み出し、大儲けした。いつの時代も、経済を発展させるのは「民間人の知恵」なのだ。

 HFTという言葉はフォーブスの読者であれば、どこかで聞いたことがあるのではなかろうか。「ハイ・フリークエンシー・トレーディング」の頭文字をとったもので、日本語では「超高速取引」という。1,000分の1秒単位で膨大な小口売買を繰り返し、僅かな価格差を利用して利益を稼ぐ。
HFTとは瞬時の情報格差を利用して、周りの投資家を出し抜いていく投資方法である。そして、このような取引を「ずるい」と指摘す る専門家や業界関係者は多く、これから規制がかかってくるのは間違いない。「出し抜く」ことはハシタナイ儲け方という考え方は日本では 非常に強いが、欧米諸国でも同じように考える人はいくらでもいる。

 さて、時は江戸時代。1730年に大阪の堂島米会所で米の取引がスタートした。当時、米は実質上の貨幣の機能も持っていたので、ある意味、本格的な金融取引所が開設されたと考えてよい。他の地域でも小さな米の取引所はあったが、実質堂島米会所が主たる取引所であったので、ここでの価格形成がマーケットリーダーの役割を持つことになる。すなわち、もし地方で堂島米会所の価格の情報を瞬時に知ることができたら、先回りして米を売買すれば巨利を得ることができる。堂島米会所の価格はどうやって地方で知ることができたのか。実際に米会所の価格情報は幕府が管理している米飛脚によって人間の足を使って運ばれていた。裏を返せば、米飛脚よりも早く情報をとれば大儲けをすることができるということである。そこでその情報を出し抜こうとした商人によって生み出されたのが手旗信号である。(中略)


上に政策あれば下に対策あり

(中略)いつの時代も、民間人はお上と知恵を競いながら、経済を発展させてきた。別に今の時代に限った話ではない。米国でも南北戦争のとき、モールス信号を使って現地の情報を的確につかみ、戦況に合わせて株式市場で関連株に投資をして儲けたのが、今のJPモルガングループの創業者であるJPモルガン卿である。

 HFTは「正しい」か「正しくないか」というのは、私にはあまり興味のない議論だ。私の好きな投資の方法ではないが、HFTそのものは旗振り通信やモールス信号を使って他の投資家を出し抜こうとする「非常にクラシックな」投資手法である。超高速取引は最新の技術だが発想そのものはクラシックだ。インターネットによる金融はこれからもどんどん進んでいくだろう。そしてそれは時代の流れであり、止められない。ビットコインなどの電子貨幣も不正と規制を繰り返しながら大きくなっていく。(中略)

 私はよくセミナーで日本各地に行く。すると「日本は一部の外国勢力によってコントロールされている。安倍晋三首相もその手先である」というような陰謀論で頭を支配された人によく出会う。まったく驚くべきことだが、このような 陰謀論を大なり小なり信じている人は国民の半分くらいいるという統計もあり、さらに驚く。

 そして、その手の質問や意見には、いつもこう切り返す。
「誰が日本を悪くしているのかはともかく、では、日本をよくするのは誰ですか。ユダヤ人ですか?中国人ですか?アメリカ人ですか?キリスト教者ですか?」
「ユダヤ人や中国人が、日本をよくしてくれるのですか?何を甘えているんですか。彼らは彼らの幸せを考えますよね。日本をよくするために頑張るのは私たちですよね。だから、誰が 陰謀の首謀者かなどと考えるより、私たち自身が日本をどうよくするのかを考えましょうよ」(以下略)

藤野英人

 

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