マイケル・コースは今年、現在ある827店舗のうち125か所を閉鎖する予定だ。そして、ジミー・チュウは150店舗を閉める。だが、それでも両社は今後、小売業界で進む「破壊」の影響をより大きく受けることになる。客足減少の影響を克服することを目指した経営の効率化をどのように実現させるのか、その方法は明らかではない。
さらに、「マイケル・コースの店内にディスプレーされるジミー・チュウの靴」は想像するのが難しい。店と商品を逆に考えてみても同じだ。バッグブランド・コーチによる同業のケイト・スペードの買収が先ごろ発表されたが、これら2社の場合にはそうした違和感がない。アンブレラ・ブランドとなるコーチの店内にケイト・スペードの商品が並んでも、無理なく受け入れられる。だが、それぞれにデザイナーの名で知られるマイケル・コースとジミー・チュウの場合は、そうはいかないだろう。
それでも、マイケル・コースは自らがアンブレラ・ブランドとなることを目指している。最高経営者(CEO)兼会長のジョン・アイドルは米CNBCテレビに対し、「これが(自社にとっての)最後の買収にはならないだろう」と語った。アイドルによれば、「ジミー・チュウの買収は、国際的なファッションブランドに焦点を絞り込んだ高級ブランド・グループを築くという戦略の第一歩」だ。
大きな夢だ。ただ、問題はそうした巨大な高級ブランド・コングロマリットの誕生を、世界が必要としているのかどうかということだ。