なおNeuralaは、ドローンだけではなくロボットや自動車、家電などにも対応したAI技術を開発。米国空軍をはじめ、通信企業のモトローラ、ドローン企業の世界的大手Parrotにも、すでにソリューションを提供している。
一方、ドローンと人工知能の掛け合わせで、新たなビジネス分野への進出を目論む企業もある。対話型人工知能「ワトソン」を開発したIBM だ。2017年4月4日には、IBMが「ペットシッタードローン」の特許を申請したと報じられた。本当に構想が実現するかは定かではない。ただ公開されている内容によれば、ペットにエサを与えて世話をしたり、時に訓練やしつけを行うことができる優れものだそうだ。
IBMが特許を申請したドローンには、ペットの行動を考慮したいくつかの機能が搭載される見込みだ。例えば、ペットが吠えた声を検出するマイク、ペットがいる室内空間の適切な温度を維持するためのセンサーなどがそれにあたる。またペットに異常があった際にその声や様子を認識する検知技術や、音声でペットを褒める機能も搭載される計画だという。
前述のスイスのプロジェクトと似ているが、IBMの場合はAIで音声や映像を複合的に処理し、タスクを自動化していくアイデアだと予想できる。人間の会話・言語を処理する人工知能技術の分野は「自然言語処理」と呼ばれるが、ペットの声についてはどのような技術が採用されるのだろうか。新たな音声もしくは声紋認識技術発展にも注目が集まる。
求められるのは“人間以上”の力
ドローンの発展において人工知能が果たす役割は、「認識」や「検出」だけにとどまらない。なかには、AIでドローンの飛行・動作制御を向上させようという研究もある。
英国の軍事企業BMT Defence Servicesとブリストル大学などは共同で、人工知能による飛行動作制御が可能な固定翼型ドローンを開発した。一般的なマルチコプターに比べて、相対的に飛行距離・時間で優れたパフォーマンスを発揮する固定翼型ドローンだが、その着陸には複雑な動作制御が必要となる。開発者たちは、その着陸時の翼や機体姿勢の制御をAIに学習させており、2017年3月末の時点ですでに約5000回のコンピューターシュミレーションを終えた状況だという。
ドローンには、人間が近寄れない場所でのタスク処理が期待されている。導入現場では人間以上の認識能力や動作能力、そして状況把握能力を発揮することがおのずと求められてくる。そう考えると、人工知能がドローンにもたらす影響は、今後ますます大きくなることが予想される。
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