セントジョンは「一連の騒動と絡めて色んな見方をされますが、私としてはチャレンジすることを恐れては居ません。こんな状況においてもウーバーにはポテンシャルが見いだせるし、与えられた任務が災難だとは思いません」と語った。
セントジョンにとってカラニックの休職の発表があった13日は、ウーバーに初出社した翌日だった。彼女は前職のアップルでは、アップルミュージックとアイチューンズのグローバルマーケティング部長を務めていた。
当日のモデレータを務めたハフィントンポスト編集長のLydia Polgreenはセントジョンに「世界で最も愛される企業の一つから、物議を醸すウーバーに転職するのはどんな気分なのか」と質問した。彼女は素早くこう切り返した。「今こそ、私の出番なんだと思います」
ステージには他に3名のパネリストが並んだ。スペースXの社長でCOOのグウィン・ショットウェル、Teen Vogueの編集長のエレーヌ・ウェルタロス、Deloitte Digital U.S.のマーケティング主任のSuzanne Kounkelらだ。
Teen Vogueの女性編集長も応援
ショットウェルは航空宇宙業界で15年のキャリアを積んだ後、スペースXに7番目の社員として参画した。イーロン・マスクの元で働くという彼女の決断を当時、周囲の人々は冷ややかな目で見ていたと彼女は言う。「安全な道を歩いていれば、成長は望めません。自分の能力を超える事をやろうとしなければ、最大限の力は発揮できないのです」とショットウェルは言った。
出版大手コンデナスト社で、史上2人目のアフリカ系アメリカ人の女性編集長となったエレーヌ・ウェルタロスも、リスクをとって物事を前に進めてきた。
彼女の指揮下でTeen Vogueは主要テーマを、政治関連の事柄にシフトさせてきた。「従来の決まり事を放り出して、新たな見方を提示する試みだった」というこの戦略は実を結び、今やサイトのトラフィックも定期購読者数も、2016年の大統領選挙を境に上り調子だという。
ティーン向けのファッション誌がシリアスな政治記事を掲載することは、世間から驚きをもって迎えられたが「これはとんでもなく性差別的な風潮だ」とウェルタロスは言う。「10代の女の子たちは口紅やジャスティン・ビーバーに興味を持つのと同時に、Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)運動にも関心があるのです」
企業に変化をもたらすためには、女性や多様な人種を、権力の座に送り込むことが必要だという意見でパネリストらは一致した。セントジョンはマネジメント職についたことで、テック業界のダイバーシティを高めていく責任も感じたという。
「ティム・クックCEOがわざわざ声明を発表しなくても、私がその職務についたという事実そのものが、ダイバーシティという言葉の意味を説明していました」
ウェルタロスもこの意見に同意した。「業界にディスラプションを起こすためには、従来のやり方を根底からひっくり返す必要があるのです」