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カカオティエを目指すパティシエ/ショコラティエ

Patrick Foto / shutterstock

パティシエにとって、繊細な味の違いが分かるかどうかは非常に大切です。僕の味覚は生まれ育った京都の薄味文化によって形成されました。

味のデザインを解明できる舌を持つためには、子どもの頃からちゃんとしたものを食べる必要があります。例えば母親の作るカレーが、ただ辛いだけでなく、炒めた香味野菜の甘さもあること。味の奥行きや深み、階層を感じとることで、味覚は育ちます。

大人になって味覚を再生するには、果てしなく時間がかかります。だから、京都で生まれ育ったことは、僕にとって非常に大きな意味を持っているんです。今回は、そんな“味”に対する考え方や仕事のルーツになった子ども時代についてお話します。

プリン研究と母親に対抗するチャーハン

以前、将来ケーキ屋さんになりたいと訪ねて来られた小学生の女の子とお母さんがいて、そのお母さんから「何歳からケーキを作っていたのか」と質問されたことがあります。実は僕は子どもの頃、ハウスプリンとチャーハンしか作ったことがないのですが、この2つの料理は僕にとってとても大事な経験です。

ハウスプリン作りでは、まずレシピ通りに作ってみた後、2回目は牛乳の分量の半分を“水”にしてみました。その次は水だけで作ってみる…。液体の量を100%として、その中で牛乳と水の割合を変えて工夫してみたんです。

一番味が濃いのはどれだと思いますか? 牛乳だけで作ったものだと思う人が多いんですが、実は違います。

牛乳だけで作ると、牛乳含まれる乳固形分によってプリンそのものの味が覆われて、マイルドになってしまうんです。逆に、水はストレートにプリンの素自体の味を活かすので、味は一番濃く感じます。どれが美味しいかは別問題ですが……。

口に入れたときの冷たさも違います。牛乳は乳固形分が邪魔をしてぬるいですが、水はつるっと感じるので冷たいんですね。

これが何に活かされているかというと、夏はなるべく水分値の高いお菓子を作ろう、生クリームを少し減らして牛乳に置き換えてツルンとさせようという発想です。小学生の頃の経験がいまでも活きているんです。

もう1つはチャーハン。母の料理の中で自分でも作れそうだったのがチャーハンでした。母の作り方を観察して、倍の量のベーコンを使ってみたり、玉ねぎを一生懸命炒めて甘くしたり、とにかく「母に勝ちたい」という思いで試行錯誤していました。

その結果「あんたのチャーハン、美味しいやん」って言われたのがすごく嬉しかったのを覚えています。

食べた人に「美味しい」と言われることは何よりもモチベーションになります。リアクションをもらえて嬉しいから、次にまた良いものを作ろう、期待を超えようと準備を始めるんです。カッコつけているわけではなく、「人の喜ぶ顔を見るのが、一番の喜び」なんです。

編集=筒井智子

 

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