チョコレートは京都の路地遊びに似ている
チョコレートって、こんなに小さいのにいろんなことを表現できるんです。僕はそれを幼い頃に遊んでいた京都・五条の路地遊びに似ていると思っています。車通りの多い五条通は危ないため「路地から出てはいけない」と言われていたので、僕の遊び場は全て路地で完結していました。
しかし、路地に閉じ込められていたのは悪いことではありません。そういう抑制があったからこそ、年に1回、夏休みに母の田舎である兵庫の田舎を訪れた際に、自然の中からさまざまなものを吸収し、面白いことを発見したり改善したりできたのだと思っています。
チョコレートと比べると、ケーキの方が大きく、いろんなものを詰め込めることができます。でも、チョコレートには「溶ける」という利点があり、2層構造にすれば、時間差で味を変えることもできます。小さなチョコレートの中に、仕掛けが隠されているはずがない…と思っている人をビックリさせることができるのは、僕にとって路地遊びと一緒です。
2016年のコンクールに出品されたチョコレート4作品
学生時代の勉強の仕方もいまに活きています。当時から、「ここが絶対に大事だ!」という感覚と集中力だけでテストを切り抜けていたので、勉強した内容は忘れてしまいましたが、取り組み方だけは残っています。それが、1年間溜めた何百ものアイデアと全世界から集めたカカオをまとめ、一定期間集中して新作を作り上げる際に役立っています。
2017年のコンクールでは、新作製作期間が2週間のみと極端に短かったのですが、やはりこのときも、学生時代に培った集中力があったからやりきれたと改めて感じました。
いまでも勉強はしていますが、まだまだ学ばなければならないことがたくさんあります。やりたいことではなく、やらなければならないことに集中して、克服していくのが楽しくて仕方ないんです。
大事なのは、いま何を勉強したら周りの人が喜んでくれるのか? を考えて取り組むこと。自分を高めた分、お客様は絶対に喜んでくれますから。「今年の小山はどんなチョコレートを出してくれるの?」という期待に応え続けていきたいんです。