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2017.05.26

増える米の自転車通勤者、小売業に新たな市場を提供

(Photo by John Moore/Getty Images)

米国では自転車通勤する人が増加しており、その数はすでに100万人近くに達している。これを受け、いくつかの「スマートな」スタートアップ企業がこの流れに乗ろうと、自転車関連市場への進出や事業拡大を推進している。

米国自転車利用者連盟によると、自転車で通勤する人は2000~13年の間に105%増加した。さらに、米国勢調査局によれば、全米の主要70都市のうち43都市で自転車通勤者が増えており、中でもカリフォルニア州バークレーでは、労働人口の8~11%が自転車を使って通勤をするようになっている。

「自転車通勤する人の数は、労働人口とほぼ同じペースで増加している。交通機関を利用、または徒歩で通勤する人の数に変化は見られない」という。

新たな顧客層として注目

元々はサーフィン愛好家らがつくり出した「ビーチクルーザー」と呼ばれる自転車を25年前からカリフォルニア州南部で製造・販売するエレクトラ・バイシクル・カンパニーは、自社の顧客に自転車通勤者を取り込もうと努力している。

2003年に発売した自転車「タウニー(Townie)」は現在、国内で最も売れ行きが好調な自転車だ。購入者の70%が女性となっている。また、「タウニー」には充電式の電動自転車タイプ「タウニー・ゴー」もある。今年発売したこのタイプは、電動自転車の中では販売台数が最も多くなっている。価格は1台2600ドル(約29万円)。通勤に自転車を使う人の多くはマウンテンバイクを選ぶが、それと比べても特別に高価というほどの値段ではない。

同じくカリフォルニア州南部あるチューズデー・サイクルズもまた、自転車市場でのシェア拡大を目指し、自転車通勤者に注目している。自転車の価格はエレクトラよりも低く設定しており、モーターが付いてないタイプは500ドル以下だ。また、今年8月には電動自転車を発売する予定だ。

自転車の利用者が増える状況に好機を見出しているのは、アパレル各社も同様だ。米マウンテンカーキは折り上げだときに見えるよう裾の内側に反射テープを縫い付けた自転車通勤用のメンズのパンツを発売。ストレッチツイルの生地を使ったテーバードパンツだ。販売においては、外見はスタイルを重視するとともに、目には見えない機能性も重視した点を強調している。

欧州ではすでに何年も前から自転車通勤が一般的になっているが、その欧州各国の企業も、拡大する米国の関連市場に注目し始めている。数十年前から通勤用のバッグを手掛けるドイツのオルトリーブは、防水性の高さとスタイリッシュなデザイン、機能性を売りに自転車通勤用のリュックやショルダーバッグなどを販売している。

環境整備も進む

自転車通勤が増えている一因は、自転車シェアリングのプログラムを導入する都市が増えていることだ。これらの都市は、自転車専用レーンの整備なども進めている。けがの心配も減ることから、女性の自転車通勤者の増加につながっていると見られる。

編集=木内涼子

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