テクノロジー

2017.05.08 08:00

フィンテックでも「ユニコーン続出」の中国 欧州に圧勝か

chombosan / shutterstock

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2017年はフィンテック市場が回復する年とされている。投資銀行「G.P. Bullhound」のオルタナティブ・ファイナンスに関するレポートによると、2016年は特に英米で不安要素が多かったにもかかわらず金融テクノロジーは好調で、その波は今年も世界的に続くようだ。

中国のフィンテックセクターは、アリババ傘下のアント・フィナンシャルが45億ドル(約5000億円)という記録的な額の出資を受けた後に急成長した。英国のEU離脱の影響は不透明だが、関係者は金融テクノロジーの未来への期待は衰えていないとレポートは指摘する。

G.P. Bullhoundは欧州では、3つのフィンテック系ユニコーンが本拠を置くイギリスがこの分野をリードすると見ている。英国にはFunding Circle、Paysafe、そしてTransferwiseといった企業がある。

「2017年も欧州のフィンテック分野は活発な動きを見せる。Funding Circle、iZettle、Atom Bank、そしてMonzoはすでに大型の出資を受けた。AIやデジタル台帳などの新技術やデジタルバンキングなどの新ビジネスモデルにも投資を増やすと見られる」とレポートは述べている。

バンキングの分野ではZopaやSoFi、Marcus、Atom Bank、Oak Northなどが一歩先を行き実績を上げているが、従来の金融機関が「この分野の発展においてより重要な役割を担う」とG.P. Bullhoundは分析している。新旧のプレーヤーが協力することが進歩のカギになりそうだ。

オルタナティブ・ファイナンスは現在最も成功しているフィンテックの分野だ。中国では13社あるフィンテック系ユニコーンのうち8社がこの領域を手がけている。

英国でオルタナティブ・ファイナンス分野がそれほど発展していないのは、伝統的な仕組みによる制約のためだ、とリポートは指摘する。これこそ中国が金融テクノロジーの分野で先陣を切っている理由かもしれない。

「オルタナティブ・ファイナンスのユニコーン16社のうち9社が中国に本社を置いている。マーケットプレイス・レンディングの規模は2016年から2020年までに世界で2.4倍拡大する。米国の年平均成長率(CAGR)が35%であるのに対し、中国のCAGRは世界最高の40%と予想される。現在ユニコーンが1社しかないヨーロッパでも複数の企業が著しい成長を見せており、地理的に拡大し融資の形態を多様化している」とレポートにある。

フィンテック分野でも中国の圧勝となるのだろうか。その答えは来年以降に明らかになる。

編集=上田裕資

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