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番組を作らないNHKディレクターが「ひっそりやっている大きな話」

TK Kurikawa / Shutterstock.com

俳優、音楽家、文筆家として活躍される星野源さんが、先日「第9回伊丹十三賞」を受賞されました。その中のスピーチで星野さんが話していた言葉がすごく心にひっかかったんです。

ちょっと長くなりますが引用しますと、「どこへ行っても『一つに絞らないの?』とか、『何がいちばんやりたいの?』とか言っていただいたんですが(中略筆者)、どこかのグループに属することに憧れてはいたんですけど、だいたいいつもちょっと“はみ出して”しまう」(“”は筆者)。

星野さんのようなマルチな才能のある方が、疎外感を感じていらっしゃったということに驚きを覚えると同時に、実はこの“はみ出す”というのが、僕みたいな普通のビジネスパーソンにとって、これからすごく大事なキーワードになるんじゃないかと思っています。星野源さんを引き合いに出すのは非常に恐縮してしまいますが、今回は僕なりに考える“はみ出す力”について書いてみようと思います。

“はみ出す”つながりで、手前みそにはなりますが、先月末からNHKの枠を“はみ出す”新しいデジタルサービスを立ち上げました。その名も「NHK1.5チャンネル」。ざっくりいうと、NHKで放送された番組のエッセンスをぎゅっと凝縮して、短く編集し直したコンテンツをWebやSNSだけで掲載・配信するサービスです。

NHKの主戦場であったテレビを「1」ととらえて、そのテレビ放送の伝統から「半歩だけ、はみ出します」という意味を込めて、1.5チャンネルと命名しました。

1.5チャンネルを始めた目的は明確です。「若い人へのリーチ拡大」、これにつきます。NHKには「アンダー59」問題というのがありまして、NHKの場合60歳以上の方々がロイヤルカスタマーで、59歳以下の世代になかなか情報をお届けできていない状況が続いています。「アンダー59」問題は、現場も上層部もとっても頭を悩ませているのです。それをなんとかしたいよね、ということで始めたのが「1.5チャンネル」です。

これまでのように「テレビを見てくださいね~」とだけ言い続けるのではなく、極論テレビは見てくれなくてもしょうがない。その代わり若い人たちが普段日常的に利用しているSNSやYouTubeに適した形にコンテンツを作り変えますんで、それをどうか楽しんでくださいと。

これがうまくまわっていけば、念願の若年層へのリーチが達成されるはず……と息巻いてプロジェクトを立ち上げたのですが、言うは易く、行うは難し。始めてみると超大変でした。

賢明なる読者のみなさまはもうご存知かもしれませんが、FacebookやTwitter、YouTubeで配信されているコンテンツとNHKがテレビで流しているコンテンツはあまりにもお作法が違うんです。(知っていました?)

テレビは、情報を引っ張ることを重視します。特にNHKはCMもありませんから、30分なら30分、1時間なら1時間、決められた放送枠を埋めて、なおかつ視聴者の興味関心を引きつけ続け、チャンネルを変えさせない。つまり「引っ張る」文化の中で進化してきたのがテレビです。

でもネットは違うんですね。結論を先に言う、尺は短く、「引っ張らない」文化です。Web動画の専門家からは「Facebook動画は3秒で離脱ですよ」と言われて、すごい戸惑いました。3秒ってマジ?いや、大事なネタ=情報は後ろにとっておきたいんだけど……とどうしても思ってしまう。さらに「スクウェア(画面縦横比1:1のこと)」だとか「モメンタム」だとか「エンゲージメント」だとか、まあとにかくよくわからない横文字が並ぶこの世界。僕たちはそこに無防備&無邪気に突入したわけです。

外部のWeb動画制作会社さんなどの力も思いっきりお借りしながら、何か月も試行錯誤を続け、ようやく100本くらいのコンテンツを1.5チャンネルのWebサイト、Facebook、Twitter、YouTubeに掲載・配信するに至りました。

文=小国士朗

 

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