なかでもスポティファイの登録ユーザーは1億人を超え、少なくとも5000万人が有料のプレミアム会員だ。しかし、ストリーミングが勢力を増す一方で、依然として巨大な利用者を抱えるのがユーチューブだ。米国では音楽リスナーらはストリーミングに軸足を移しつつあるが、それ以外の諸国では利用者は以前と変わらず、馴染み深いユーチューブで音楽を聞いているのだ。ここ数年で米国外からのアクセスはさらに上昇を遂げている。
上位100の動画を見てみると、そこに並ぶのは米国のポップスターの動画のみではない。今年3月のトップ100を見ると、そこで使用される言語は英語、スペイン語、ヒンドゥー語、韓国語、ロシア語、さらにはタイ語と多岐に渡っていた。
また、最多再生回数を誇る動画は依然として韓国のPsyの「カンナムスタイル」だ。また、インドや韓国の人気シンガーの新作が米国の人気シンガー以上の再生回数を獲得するケースはこれまで以上に増えている。
ユーチューブの担当者によると、2016年の下半期において全再生回数のうち40%がラテンアメリカからもたらされた。また、英語圏からの視聴は全体の20%でしかないという。
米国やカナダ、欧州の利用者らが音楽を聞く場合、モバイルでの利用に最適なストリーミングサービスに主軸を移している。スポティファイやアップルミュージックは規模ではユーチューブに劣るが、プレイリストやオフラインでの聴取で利用者の心を捉えている。
その一方、ユーチューブは無料で利用可能で、数千曲もの楽曲が楽しめる点で新興国の利用者にアピールしている。新興国ではストリーミングのプレミアムサービスを利用したくても、サービスがまだ導入されていない地域も多い。
音楽業界側から見ると、この状況は非常に悩ましいものではあるが、ユーチューブは依然として巨大なユーザーベースを抱えており、この状況はしばらく変わりそうにない。