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ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist

ハーバード・ビジネス・スクール、クレイトン・クリステンセン教授 (Photo by John Lamparski/Getty Images)

イノベーションの第一人者と言えば、世界トップの経営思想家、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授をおいてほかにはいない。世界で最も偉大な経営思想家50人を選ぶ「Thinkers50(シンカーズ50)」で第一位に輝き、世界的ベストセラーの『イノベーションのジレンマ』の著者として知られている。

同教授の新著“Competing Against Luck: The Story of Innovation and Customer Choice”(『運との競争─イノベーションと顧客選択の物語』未邦訳)によれば、消費者の「Jobs to Be Done(片づけるべき用事)」をつかむことがイノベーションの予見・創造のカギだという。同教授にイノベーションの極意を聞いた。


─教授は、共著“Competing Against Luck”のなかで、イノベーションの成功は「運」の賜物だという考え方を捨てるべきだと書かれています。企業は、消費者の「片づけるべき用事」を先読みすることでイノベーションを計画的に起こせるのだ、と。まず、執筆の動機を教えてください。

20年にわたる研究から、マーケティングやエンジニアリングの専門家は顧客の分析にたけているにもかかわらず、開発された製品の80%が失敗に終わるという事実がわかったことが、「片づけるべき用事」に着目するきっかけになった。

企業は、あらゆる顧客情報を基に開発を進め、資金を投じて新製品を生み出すが、8割が失敗してしまう。どの製品がうまくいかないかを予測することもできない。つまり、顧客の欲しいものがわかっていないのだ。企業は、どうすれば人々が製品を買い、どうやって人々を市場に引き込むかを理解する必要がある。要は、彼らがどのようなジョブ(用事)を片づけようとしているかだ。

研究を重ねるうちに上記の点が見えてきたのだが、「用事」というものは非常に安定しており、予測可能なこともわかってきた。顧客が片づけたがっている用事が何かを理解できれば、その用事を済ませるための製品を開発すればいい。つまり、イノベーションは予測できるというわけだ。これまで、こうした考え方を唱える人はいなかった。  

用事を理解する際に重要なのが、どの用事にも機能的・情緒的・社会的側面が伴うという点だ。工業製品にさえ情緒的・社会的側面があるからだ。

そして、ひとたび用事が何かを理解すれば、次の問いへの答えが出る。人々が用事を完璧にこなすために必要とする製品の購入・使用において、企業は、どのような「経験」を顧客に提供すべきなのか、という問いだ。用事が何であるかがわからなければ、経験に関する問いにも答えられない。

そして、顧客に提供すべき経験が何なのかを理解できれば、その次の問いにも答えが出る。企業が、用事の片づけに必要な経験を顧客に提供するには何と何を融合させ、どのようなプロセスをつくり出せばいいのか、という問題だ。顧客が何かを買い、それを生活に取り込むことは一つのプロセスであり、それは、すべて「片づけるべき用事」に基づいている。

この一連の流れが、(私たちが見いだした)「Job Architecture(用事の設計)」という概念だ。顧客には、機能的・情緒的・社会的側面を伴う片づけるべき用事があり、企業は、顧客がその用事を済ませるために必要な製品を買い、使う際にどのような経験を提供し、何と何を一つにまとめ、しかるべきプロセスをつくるべきなのか─。これが、(顧客がモノやサービスを購入する際の仕組みである)用事の設計だ。

「社会的・情緒的側面」>「 機能的側面」

─企業にとって最も重要なのは、顧客の属性でなく、顧客が片づけるべき用事なのですね。

そのとおりだ。自動車を例に取ろう。自動車は移動のためのものと思いがちだが、顧客の視点から見ると、ほかの「用事」がいくつか考えられる。

たとえば、自動車をオフィスとして使うことだ。米国には、外回り用のオフィスを必要としている営業担当者が100万人以上いる。だが、どの車もオフィス機能を備えておらず、彼らは不便を強いられている。自動車メーカーがこうした状況に気づけば、従来の車とはまったく違う製品が生まれるはずだ。しかし現在、車は万人向けの仕様になっているため、トヨタも日産もホンダも差異化を図るのが非常に難しい。

文=肥田美佐子

 

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