米ロサンゼルス本拠のロケットラボは3月21日、7500万ドルのシリーズD資金調達を行ったと発表。今回のラウンドで同社の評価額は10億ドル以上とされた。リードインベスターはData Collectiveで、Promus Venturesや匿名の出資元も参加。以前からの出資元のKhosla VenturesやBessemer Venture Partners 、K1W1も参加している。ロケットラボの資金調達額はこれで1億4800万ドル(約165億円)に達した。
「新たな資金を元に事業規模を拡大させていく。ロケットの製造台数の増大が当面の課題だ」とロケットラボ創業者でCEOのピーター・ベックはフォーブスの取材に応えた。
ロケットラボの目標はスペースXのように人類を火星に送り込むことではない。
同社は小型衛星の打ち上げに特化した企業だ。小型衛星の製造分野では過去10年で劇的な低コスト化が進み、PlanetやSpireといったスタートアップ企業も参加し新たな機能を加えている。
しかし、ロケットの打ち上げ分野では依然として大型衛星の打ち上げが主流で、小型衛星事業者らは相乗りの形で大型衛星の打ち上げに参加しているのが現状だ。そのため、コスト高でスケジュールの自由度も確保できないのが小型衛星事業者らの悩みとなっている。
その一方、ロケットラボが開発したエレクトロンロケット(Electron rocket)は小型衛星の打ち上げに特化したロケットだ。ベックCEOは「製造体制が整えば、毎週にでも衛星を打ち上げたい」と述べている。同社はロケットの大量生産を行い、ニュージーランドの専用打ち上げ施設を用いるため、米国からのロケット打ち上げに比べ迅速なスピードで打ち上げを実施できるという。
「我が社のロケットは当初から大量生産を目標に作られた。エンジン部品の製造には3Dプリンターを用い、6台のプリンターで24時間以内に一つのエンジンが製造される。つまり、製造量を増やすにはより多くのプリンターを投入することだ。より多くの打ち上げを行うための資金が必要だ」とベックは述べている。
エレクトロンロケットは2ヶ所の工場で生産されている。Rutherfordと呼ばれるエンジンはロサンゼルスの工場で生産され、ロケットの主要部分は打ち上げ施設のあるニュージーランドで生産されている。
エレクトロンロケットは数週間後の初の打ち上げを控え、現在テストが重ねられている。一号機の打ち上げに続き、短期間で二号機や三号機の打ち上げも予定しており、既に製造も開始されている。全てが順調に進めばロケットラボは2017年のうちに最初の商用打ち上げを行う予定だ。商用打ち上げの顧客リストにはNASAやPlanet、Moon Expressといった企業名が並んでいる。