現在では、米国が輸入する日本酒の89%が高級酒に分類されるものとなっている。日本食レストランの復調と日本酒の普及は、こうした質の高い日本酒の増加によって、実現したとも考えられる。コスモポリタンなレストランやシェフたちは輸入した高価な日本酒をメニューに合わせて提供したり、カクテルのベースとして利用したりしている。
「愛好家」たちも普及を後押し
マイアミにある日本食レストラン「MAKOTO」のオーナー兼エグゼクティブシェフ、大桑誠は、「米国の人たちが何か新しいものを探し始める中、日本食はよりスタイリッシュなものになった」と語る。日本酒だけではなく、日本の「食」がトレンドになっているというのだ。
また、ニューヨークの日本料理店「春」のドリンク部門の担当者は、酒類メーカーは市場への進出を容易にし、消費者の認知を高めるための方法について模索を続けていると話す。例えば、ワインメーカーをまねて、高額なビンテージは供給量を抑えたり、持ち運びしやすく、集まって楽しむ機会に最適の缶入りタイプの日本酒を発売したりしている。
こうした日本酒の愛好家たちは、まずは日本酒を試してみてほしいと米国の人々に勧めている。
大桑は、「新しいものを怖がってはいけない」して、日本酒は「どんな料理にもぴったりだ」とアピールする。さらにピアースは、「悪い酒など存在しない」と断言している。