ビジネス

2017.03.06 08:30

EU離脱後の新「日英関係」


かつて大英帝国を作り上げたこの国の基本理念は、『自由通商帝国主義』だった。陸地ではなく七つの大洋に生きてきた。大陸に近い島国で、日本のロケーションに似ている。だからこの二つの国は海洋国家なのである。

ちょうど115年前のいまごろ、東西の海洋国家は強い紐帯で結ばれた。日英同盟である。当時の英国は単なる友情や好意で日本と同盟を結んだのではない。ロシアとドイツを抑え、フランスを牽制するための政治外交戦略の一環だった。だが、日本がロシアとの大戦に勝てた要因の一つは、紛れもなく日英同盟にあったし、その底流には幕末の薩長の英国留学生から連なる両国の人脈があった。

しかも幕末に押し付けられた列強との不平等条約を、イの一番に改正した先進国は英国だ。

日本も英国も、自由な海洋交易なしの繁栄はあり得ない。パクス・ブリタニカは遠い過去の遺物と思われがちだが、どっこい英連邦の紐帯は意外に強い。日本にとって大きな魅力である。欧米で保護主義や孤立主義が台頭する昨今こそ、日英間の連携を強めるべきだ。21世紀型の新日英同盟を目指すのである。

日英基金のレセプションの終わりかけであった。淡い照明にも映えるプラチナブロンドの留学生がポツリ。「先進国の中でロイヤル・ファミリーを持っているのは、英国と日本だけよね。素敵だわ」

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.32 2017年3月号(2017/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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