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Quick Shot / shutterstock.com

一丁目一番、それも東京のど真ん中の千代田区に、静謐で瀟洒な建物が数棟佇んでいる。一歩中に踏み入ると都心とは思えない異空間だ。ナチュラルに整備された庭園が、訪問者を穏やかに迎えてくれる。英国大使館である。

日本と英国との文化交流機関である大和日英基金は、毎年、極めてセレクティブなシンポジウムをここで開催している。昨年秋には、EU離脱を決めた英国(ブレグジット)の行く末と米国大統領選について、英国論壇の重鎮を招き、例年にも増した盛会となった。レセプションは、先端科学、前衛芸術から日英経済交流の促進まで縦横無尽の会話で盛り上がっていた。

同基金が設立されて25年を過ぎたが、昨今ほど日英関係が近づいた時期はなかったような気がしている。わが国は太平洋中心でモノを考える癖があるが、欧州、わけても英国は非常に重要な存在である。英国にとっても、日本は年間2兆円弱で第7位の貿易相手国だ。

ブレグジット後の英国では、日本への視線が熱い。特に日本の自動車メーカーが工場の英国残留を決めたり、巨大IT企業が英国を代表する半導体設計会社を買収したりと、ヒト・モノ・おカネを投じてくれることが大きな好感で迎えられている。今後、英国は経済的な孤立と苦境に陥る、というのが世界の通り相場なので、日本はよくぞやってくれた、という思いなのだろう。原子力発電の大型協力も注目されている。途上国とは比較にならない技術力を見せたいところだ。

感性の面でも英国はかなり日本と親和的である。

例えば庭園。欧州大陸のシンメトリックな美しさは素晴らしいが、どこか居所感のなさを覚える。対して英国庭園は、無造作な手入れが自然との調和を醸し出し、日本の里山風景を彷彿とさせる。英国有数の庭園コンテストで、日本人造園家が立て続けにグランプリを獲得しているのも、むべなるかな、である。

コメディについても、日本を代表するお笑い・エンタメ会社の社長は「米国のコメディより英国のユーモアのほうが、日本人にはピンとくるのではないか」と指摘している。

バッキンガム宮殿からグリーンパークをゆっくりと横切ってみる。黄色く色づいた木々の葉が静かに舞い落ちるさまは、英国でシャンソンの『枯葉』を聴く気分である。ピカデリーに出ると、真ん前が在英国日本国大使館だ。

大使室で出迎えてくれた鶴岡公二大使は、柔和な表情で日英関係を語った。TPP主席交渉官として、連日タフネゴシエーションをこなしていたころの厳しい顔つきとは、別人のようである。「英国の日本への思い入れは強い。例えば、今年これまでに英国を訪れた日本人は17万人ですが、日本に行った英国人は22万人もいるんです」。日英基金で日本に留学中の若い英国人たちの、堪能な日本語と日本文化への関心の深さを思い浮かべる。

「イーストケンブリッジには、日本酒の醸造所が造られます。大阪の事業者さんです。辺りは広大な平地なので、さらにクールジャパンに絡んだ何かができないか、って話し合っているんですよ」

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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