米労働者の上昇志向の表れ? 同一ポジションの在職期間は平均15か月

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長年にわたって一つの仕事を続ける人が減っていることは、よく知られている。だが、労働者が同一の職務にとどまる平均的な期間は、業種によってまちまちだ。キャリア情報サイトの米グラスドアは2月15日、2007~2016年の同社サイト利用者の業種別の同一ポジションへの平均在職期間を発表した。

調査は同期間中に5,000件以上に達したサイト利用者による自身の登録情報の「職務内容」の変更について分析したもの(他企業への転職、志願による社内での異動などを含む)。その結果、米国の労働者はこの間、平均1年3か月で新たなポジションに就いていたことが分かった。

これらのうち、転職した人が前職を離れた主な理由は次の2つだ。

・キャリアアップの機会の不足と企業文化・価値観に対する不満──調査結果によると、これら2つの点に関する改善が実現すれば、離職率は5%低下するとみられる
・給与──基本給が10%上がれば、離職率は1.5%低下するとみられる

業種別に見た場合、同一のポジションでの勤続期間が最も長かった(定着率が高かった)のは、政府・地方自治体の関連機関の職員だった。平均18.6か月にわたり、同じ仕事を続けていた(米労働省によると、政府・地方自治体の関連機関で働く人は約2,220万人いる)。

二番目にその期間が長かったのは航空宇宙・防衛産業で、平均17.3か月だった。エンジニアが最も多い同業界の2015年の平均年収は、10万7,830ドル(約1,127万円)。福利厚生が充実していること、担当する仕事の量や進行のペースなどに融通が利くことが、同じ職務に長くとどまる理由の一つになっているという。

3位はメディアだった。同業界の2015年の平均年収は5万3,530ドル。報道機関が必要とする人員は減少しているが、大きな影響力を持つ仕事であること、情報を社会にタイムリーに伝えるという目的意識を持った人が就いている仕事であることが、同一のポジションにとどまる人が多くなる理由とみられている。

従業員の定着率が高い米国の業界トップ20
(数字は平均在職月数)

1位 政府・地方自治体: 18.6
2位 航空宇宙・防衛: 17.3
3位 メディア: 16.9
4位 情報技術: 16.8
5位 電気通信: 16.5
6位 非営利活動: 15.8
7位 ヘルスケア: 14.9
8位 金融: 14.9
9位 教育: 14.9
10位 小売: 14.8
11位 外食・食品サービス: 14.6
12位 石油・ガス・エネルギー・公益事業: 14.5
13位 製造: 14.0
14位 保険: 13.9
15位 旅行・観光: 13.7
16位 会計・法務: 13.6
17位 ビジネスサービス: 13.5
18位 交通・物流: 13.5
19位 不動産: 13.3
20位 バイオテクノロジー・製薬: 12.7

編集 = 木内涼子

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