最新のジャーナル・オブ・ フィナンシャル・エコノミクス(Journal of Financial Economics、JFE)によると、米国の大企業(S&P500種指数の構成企業)を対象とした調査の結果、娘を持つ男性が最高経営責任者(CEO)を務める企業は社会的責任(CSR)に関する評価が高く、娘がいない男性CEOが率いる企業の評価点を約10%上回った(調査期間は1992~2012年)。
この結果をもたらすものは何だろうか?答えはそう複雑ではない。これまでの調査から、男性よりも女性の方が周囲の人たちに気を配る傾向があることが分かっている。また、親は子どもの好みを自分自身のものとして取り入れる傾向があることも明らかになっている。こうしたことから、娘を持つ男性の方がより利他的な考え方を持つようになると考えることができる。
JFEに掲載の論文の著者らは、これらに基づき次のような仮説を導いている。「娘がいるCEOの方が、地域社会や環境、人権の問題などに対する思慮が深く、そうした利他的な考え方が、その人がCEOを務める企業の積極的なCSR活動という形に現れる」また、こうした傾向が最も顕著にみられるのは、CEOが男性であり、第一子が娘であり、2人以上の娘がいる場合だという。
これらは、驚くような話だろうか?女性たちが交際相手の男性や夫を変えることができないと嘆く一方で、娘たちは父親に影響を及ぼすことは可能だと見られている。「娘は父親を意のままに動かすことができる」とは、よく言われることではないか。
父を変える娘の力
米連邦議会の男性議員を対象に行った別の研究では、娘がいる議員の方がリベラルな思考を持っているとの結果が明らかにされている。性と生殖に関する女性の権利については特に、娘がいる議員の方が左派的な考えを示す傾向があるとの研究結果もある。