ただ、売上本数自体は他の媒体に遠く及ばない。ニールセンのデータによると、カセットの年間売上本数は12万9,000本だった。これに比べ、アナログレコードの売上枚数は1,300万枚。CDとアナログレコード、デジタル配信、カセットを含めたアルバム売上総数は2億枚だった。12万9,000という数字は、米音楽市場の週間チャートで1位を獲得するために必要な売上枚数とほぼ同じだ。
カセットが大衆文化においてかつての重要性を取り戻す可能性は極めて低いが、時代に逆行してカセットを買い続けている音楽愛好家が一定数存在することは確かだ。昨年に少なくとも1,000本を売り上げたカセットアルバムは25本で、前年の8本から大幅に増加した。2016年最も売れた音楽カセットは映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のサウンドトラックで、売上本数は4,000本だった。
カセットはレコード同様、完全に死滅したことはないが、人気の衰退によって廃れ切ったものと思われていた。現在もカセットを製造し続ける数少ない企業の一つ、ナショナル・オーディオ・カンパニーは、2014年に1,000万本だったカセット製造数が翌年には3割増加し、16年にはさらに増える見込みだと述べている。
レコードと同じく、カセットの売り上げは今後数年間にわたり伸び続ける見込みだ。これを単なる一時的な流行だとみる向きもある。だが、レコードが復活の兆しを見せた当初、音楽業界の実力者を含む多くの人々によってほぼ無視されていたものの、その後、誰もが予想していなかった規模へと成長したことは特筆すべきだ。
カセットは、売上本数と売上高において、アナログレコードに続く復活を遂げられるのだろうか?おそらく難しいだろう。だが、カセットテープが現在に至るまで製造・消費され続けていることは、驚くべき事実だ。