英紙ガーディアンによると、11月28日の週のレコードの売上が240万ポンド(約3億4,800万円)だったのに対し、デジタルの売上は210万ポンド(約3億450万円)だった。僅差ではあるが、レコードの売上がデジタルの売上を上回ったことは重要だ。
同紙によると、イギリスでは前年同期のレコードの売上はわずか120万ポンド(約1億7,400万円)で、デジタルはその4倍近い440万ポンド(約6億3,800万円)だった。
しかし、この傾向が今後定着するというわけでもなさそうだ。ガーディアンの記事では、クリスマス向けに“形に残る物”のセールスが高まったことが、レコードの販売数の急上昇を招いたとの分析も紹介されている。自分用に音楽を購入する場合はデジタルが多いため、ホリデーシーズンが終わったら再びデジタルがレコードを上回ることも予想される。
世界の主要音楽市場では10年近く前からレコードのセールスが上昇傾向にあり、その傾向は毎年高まっているように見える。レコードはミレニアル世代がクールだと思うものの1つに数えられるようになってきている。近年ではレコードのセールス上位に流行のポップシンガーやダンスミュージックが往年の名曲と共に入ることもあるほどだ。
デジタルの販売数はこの数年減少傾向にあり、スポティファイやアップルミュージックなどのストリーミング・プラットフォームが人気を博している。iTunesなどが圧倒的な支配力を誇るデジタル販売は爆発的に成長したが、急速に勢いを失った。今やディスカウントされることも多く、オンラインショップで大々的に売り出しても以前よりも売れなくなっている。
アメリカでレコードの売上がデジタルを上回る日はまだ先かもしれないが、レコードの上昇傾向とデジタル販売の衰退傾向を見れば、いずれ現実になると言えるだろう。