ビジネス

2017.02.24 16:30

採用活動に「ぬくもり」を取り戻せ 北欧HRスタートアップの挑戦

TalentAdoreのCEO、サク・ヴァルカマ(右)と、CTOのヨニ・ラトヴァラ(左)


ものすごく画期的なサービスですね。これを使えば、応募者との連絡にかかる時間をどれくらい短縮できるのでしょうか?
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S:たとえば、100人から応募があって、その中から1人を採用するとしましょう。私たちがいくつかのケースを調べたところ、99人に「不採用」の返事を書くのに、平均1,485分かかることがわかりました。これは労働時間にして5日間に相当します。

でもこのソフトを使うと、一瞬で済みます。普通、応募書類をチェックするときは、何らかのメモをとりますよね。そのときにメモではなく、このソフトを使えばいいんです。追加の作業にはあたりません。チェックを入れ終わったら、返信メールの文面も同時に完成しているというわけです。

先日、年間50万人の応募があるという大企業から問い合わせを受けました。彼らが実際に採用するのは、その中の40~50人だそうです。こういう企業の場合は、このソフトを活用することで、ものすごく作業時間を短縮できます。
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TalentAdoreは、2016年冬にヘルシンキで開催されたスタートアップ・イベント「スラッシュ」の起業コンテストに出場し、観客たちの関心を集めた

メール対応にかかる時間を大幅に減らせるのはメリットですね。

S:はい、でも実は私たちがメリットとして強調したいのは、時間を節約できることよりも、事業のチャンスをいかに拡大できるかということです。

なぜなら応募者が採用活動を通して「よかった」と思える経験をしたら、その会社の製品をもっと買うようになるかもしれないし、周りの人にもそのことを話して、評判が広がるからです。逆に採用活動の印象が悪いと、せっかく会社に興味を持ってくれたのに、今後は買ってくれないかもしれません。これは大きな違いです。

もちろん採用活動の目的は、第一によい人を見つけることですが、それだけではありません。応募してくれた全員をハッピーにして、自社のよい評判を広めてもらうこともできます。

一般的な企業のケースとして、応募者の数は年間で従業員の10倍程度に上ります。たとえば従業員が1,000人の会社なら、年間1万人の応募があります。この1万人を会社の「ファン」にできるかどうかが重要なのです。

J:その1万人は「働きたい」と興味を示しているので、ただの消費者ではなく、「とても重要な消費者」なのです。

S:アメリカには、Glassdoor(グラスドア)という有名な口コミサイトがあります。従業員が会社の経営陣や給与待遇などについて評価できるサイトですが、従業員だけでなく、応募者も採用経験を評価できます。

アメリカで就職活動する人は、たいていこのサイトをチェックして、まず会社の評判を調べます。応募する価値があるかどうかを確認するんです。だれも評判が悪い会社では働きたくないですからね。
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Interview and Photographs by Yasushi Masutani

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