─レストランのレビューサイトのように、企業も口コミで評価される時代になっていると。
S:キーワードは「透明性」です。今や、会社の行動は社会にオープンになりました。私たちは、透明性をうまく管理し、採用プロセスが応募者にとって「よい経験」となるように、採用活動のお手伝いをしています。
私たちはこのサービスを単なるコミュニケーションツールではなく、「Virtual Recruitment Assistant」(仮想採用アシスタント)と呼んでいます。
目的は、採用活動に「ヒューマンタッチ(人間的なぬくもり)」を取り戻すことです。応募者は本来、企業にとって重要な「顧客」のはずです。でも残念ながら、多くの企業は応募者をそんなふうに見ていない。中には「無視していい」とすら思っている企業もあります。
─英語とフィンランド語でサービスを展開されています。今後、日本語への対応も考えていますか?
S:もちろん、ほかの言語にも対応したいと思っています。ほかの言語でインタフェースを作るのは簡単です。問題はほかの言語で書くためのAIです。
J:ラッキーなことに、日本語の文法はそれほど難しくないので、その点について不安はありません。フィンランド語のように複雑な活用はありません(※フィンランド語は世界で最も習得が難しい言語の一つとして知られる)。漢字など表記面が複雑なことくらいでしょうか。
S:フィンランド語でできたから、日本語でもできると信じています。フィンランド語版はすでに文法的にも完璧で自然な文章を作成できています。方法がわかっていますので、日本語のフルバージョンも3か月あれば作れる自信があります。
TalentAdore/タレントアドア
2014年創業のフィンランドのスタートアップ。AIを活用した人材採用のコミュニケーション・プラットフォームを英語とフィンランド語で提供する。16年、80万ユーロ(約1億円)の資金を調達。社員数は約10人。
Saku Valkama/サク・ヴァルカマ(44)◎TalentAdoreの共同創業者兼CEO。ノキア・ネットワークスやアンリツなど大手企業でグローバルセールスやマーケティングを担当し、豊富なビジネス経験をもつ。
Joni Latvala/ヨニ・ラトヴァラ(26)◎TalentAdoreの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)。アアルト大学を卒業後、人材会社勤務などを経て独立。人工知能や自然言語処理が専門。日本語を含め、6カ国語を話す。
*「フォーブス ジャパン」2017年3月号(1月25日発売)では、フィンランドのスタートアップ躍進の謎に迫るロングルポ「『起業立国』フィンランドの素顔」を掲載中。