H2に搭載されている分子センサーは、テルアビブに本拠を置くConsumer Physics社が2014年に開発したハンドヘルド型の分子スキャナー「SCiO」を小型化したものだ。SCiOは、近赤外線分光法(NIRS)を用いて物体や液体をスキャンし、計測したデータをクラウドに送信して化学成分を解析する。あらゆるものの成分を簡単に計測でき、結果は専用のスマートフォンアプリに表示される。Changhong H2にはSCiOの機能が内蔵されているため、スマートフォンをかざすだけで同じようにスキャンを行うことができる。
NIRSは、主に医療診断や医薬品の品質管理に用いられるが、業務用スキャナーの価格は安いものでも1万ドル以上する。H2に内蔵されているSCiOは、コンシューマ向けの機能だと思われる。SCiOを使うと、腕にかざして体脂肪率を測定したり、薬をスキャンして成分を確認することができる。
SCiOの紹介ビデオでは、薬の成分分析を行った結果、スマホアプリにイブプロフェンであると表示される。他にも、フルーツや野菜の成分を測定するのにも便利だ。一般的には、フルーツや野菜の糖分含有量の測定にはBrix値が用いられるが、SCiOを使えば少し離れた場所からでもBrix値を計測することができるという。
紹介動画には、「計測結果は100%正確ではない可能性があります」という文章が表示されるが、SCiOを使って食べ物の中にアレルギー物質が入っていないか確認するユーザーもいるであろうから、その精度の高さは気になる所だ。SCiOが厳正なテストをクリアし、性能が保証されることを期待したい。
初回販売分は既に出荷されており、何か問題があれば広く人の知るところとなるであろう。多くのユーザーにとっては、SCiOは単なる楽しいガジェットに過ぎず、用途も限定的になると思われるが、フィットネスやヘルスケアの分野では日常生活に欠かせないデバイスになる可能性がある。
現在のところ、H2は中国のみでの販売となっているが、SCiOに興味があればスマートフォン対応のスタンドアローン版(スマートフォンは含まない)を299ドルで購入することができる。